日本の大企業の一つの東芝が組織ぐるみで不正な会計処理をしていたということが今年の4月に発覚して以来、株主はじめ世間を驚かせました。東芝という大企業がどうして会計不正をしないといけなかったのかについてみていきましょう。

約4年間で繰り返された利益の水増し

東芝は2009年3月から2014年12月までに約1500億円もの利益を水増ししていたと言われています。第3者委員会などの調査が入り、結局東芝がうける損失額は3000億円にもなると言われています。

前代未聞の多くの役員の辞任

大企業の社長はじめ、副社長、6人の取締役が不正会計の責任をとって辞任しました。全員が関与し、利益水増しを認めていたことになります。

不正会計処理によって損なわれた信頼

売上利益の水増しによって、株主も裏切られたことになります。2015年3月の配当は0円となることになってしまいました。さらに今後の業績も不透明という事態に。その結果株主からの信頼も損なわれてしまい、2015年4月、株価はストップ安となりました。東芝はどのようにして売上の水増しをしたのでしょうか?

社長みずからが指示

歴代3社長それぞれが、各カンパニー社長に自ら指示したようです。チャレンジと称して、売上げを上げるようにメールや電話で指示したようです。威圧的な指示に従わなければならなかった各カンパニー社長。不正会計にかかわる隠ぺい組織の悲惨な実態が垣間見れます。

どうして東芝は上場廃止にならないのか?

組織ぐるみの粉飾決算が明らかになっているのに、どうして東芝は上場廃止になっていないのでしょうか?

それは東芝という企業があまりにも日本にとって必要不可欠な企業であるからだと言われています。東芝はインフラはじめ、防衛産業の主要企業であり、国益を担う企業だからです。東芝が衰退すれば、中国に買収され、日本は中国企業に支配されるということにもなりかねないからです。そのため上場廃止にはならないのだと言われています。

つまり東芝の衰退は日本の衰退だと捉えられているからです。ではどんなところで利益を水増ししていたのでしょうか?

インフラ、テレビなどで売上利益の水増し

ETC、スマートメーターなどのインフラ分野はじめ、パソコンでの売上高を水増ししていたようです。また、テレビの広告宣伝費の計上を先送りしていたようです。また、半導体の在庫の価格の評価損の計上をしていなかったなどの費用の不正な隠ぺいをしていたようです。

会計監査法人が見抜けなかったのはなぜ?

これらの会計不正は、決算書だけをみていたのでは到底わかりません。ですが新日本監査法人が東芝を監査しています。どうして監査法人は数年間も会計不正をみぬけなかったのでしょうか?

その理由の一つとして、日本の企業が監査法人に支払うペイが欧米よりも低いことが挙げられます。その結果監査がずさんになり、会計不正が放置されていたようです。東芝はどこまでチェックされるのかを念頭に置いた上で、チェックされない部分で売上利益の増大を図っていたことになります。監査法人でさえ見抜けなかったほど組織ぐるみですれば、粉飾決算がまかり通るということになります。

まとめ

東芝の会計不正で世間は驚きましたが、そもそもどうして東芝は会計不正をしなければならなくなったのでしょうか?

それは家電市場の飽和、インフラの飽和というメーカー市場の日本国内での飽和があげられます。同時に中国や韓国の家電メーカーの世界進出で競争が激しくなっており、利益を確保することが困難になっていることもあげられそうです。第二のサンヨーにならないようにと、今後の東芝に株主も期待しているはずです。

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