1.競馬の配当金は穴場のほうが高い

競馬は100円から投資できるギャンブルです。自分の馬が優勝すれば配当が戻ってきます。馬券の購入代金はJRAの取り分と配当金部分とに3:7で割けられます。そして配当金部分についてはさらに優勝候補者に期待する部分と、穴場部分とに分けられます。穴場部分というのは人気のない馬ですからそれだけ指示する人も少なくなります。

ですからその馬が優勝すると、配当を少人数で分けるということになり、1人当たりの配当金が高くなるということになります。ですから人気馬を購入しても沢山の人で分けるので支払った馬券1円あたりの配当金は少なくなるということになります。

2.支払馬券

支払馬券というのは、馬券を購入するために支払った現金で得た馬券です。このとき、買った馬券すべてが当たることはありません。支払馬券の内訳は当たった馬券とハズレ馬券の2種類となります。所得税では儲けに対して税金がかかります。儲けというのは当たり馬券によって得た現金収入のことではありません。この収入から必要経費を控除した残りの額のことをいいます。ここで収入から控除する必要経費にハズレ馬券も含まれるのか否かということが議論された事件があります。

3.ハズレ馬券は必要経費になるのか

男性は2007年から2009年の3年間に30億1000万円の配当収入を得ました。

このとき支払った馬券代は3年間に約28億7000万でした。男性は30億1,000万から28億7,000万を控除した残額の1億4,000万を儲けたということになります。

男性が支払った28億7000万についてみていきましょう。このうちの当たり馬券は1億1000万円でした。男性は支払った馬券額すべてが必要経費になると思っていました。ですから収入の30億1000万から必要経費の28億7000万を差し引いた残額の1億4000万円だけに所得税が課税されると思っていました。

4.所得税法との考え方の食い違い

国税庁はそうは考えませんでした。支払馬券の全額が必要経費だと認めない見解をだしたのです。つまり支払った馬券額のうち、当たった馬券部分だけを必要経費とするというのです。当たり馬券は1億1000万ですから収入の30億1000万という収入からはこの金額しか差引できないとしたのです。その結果29億円に所得税がかけられることになったのです。一時所得は儲けが50万以上であれば超過累進税率がかかりますので、税率は最高税率がかかります。

5.儲けよりも税金が高くなってしまう!

29億円から50万の一時所得の特別控除を引いた後の金額を2分の1した金額約14億4千7百50万円に最高税率40%がかかってしまったので、男性は儲けである1億4000万の何倍もの税金を支払わなくてはならなくなってしまったのです。

当然支払えるわけがありません。さらに一時所得で課税されてしまう場合は、その人の所得(競馬で儲けた以外の所得)20万以上であれば申告義務が生じてしまうというのがあります。この申告義務をしない場合は無申告加算税としてまた余分に税金を支払わなくてはいけなくなります。

男性は申告をしていなかったので無申告加算税も適用されてしまいました。一般に競馬で儲けた場合に確定申告をする人は少ないようです。インターネット投票や電話投票というものを利用した場合、銀行口座に直接配当金が入金されます。このとき銀行、JRAとも、税務署に対して個人情報を提示する義務はないので、よほどのことがないかぎり税務署に申告義務があるにもかかわらず無申告だということが発覚することはないようです。

今回のケースは男性は配当金を株式などの投資に再投資していたことなどから、証券会社などを通じて申告義務の必要が発覚したようです。

6.必要経費となるものとならないもの

必要経費となるものというのは、納税者が現金収入を生むために使ったすべての現金支出という訳ではないようです。税務署が認めた範囲内でというのがあります。これは税務署はその現金収入を生むために使われたことがわかる現金支出のみを必要経費としているということが基本です。

ですから同じ飲食代でも、事業所得を生むために事業主が接待をする時に支払った額なら交際費と認められますが、生活費のための飲食費は必要経費とはならないなどです。ですがその線引きというのはきっちりとできるものではありません。ですから限度額というものが決められています。ところで男性が支払った馬券のうち、ハズレ馬券はどうでしょうか?国税庁はハズレ馬券と当たり馬券をわけました。ハズレ馬券は配当30億1000万を生むのに直接貢献した馬券ではないと判断したのです。ですから収入30億1,000万を減らす要素としなかったのです。

7.最終的に税金を支払わなくてよかった男性

最終的に男性は税金を支払わずに済みました。もし男性が一回のギャンブルで約30億もの大金を得たというなら29億円に課税されていたでしょう。

ですが男性は反復的に少しずつ利益を増やしていたのです。ですから銀行口座には常に少額の金額しか残高にはなく、入金された収入をすぐに他の投資にまわしていたのです。これは事業的規模で行っていたとするならば、事業所得ということになります。事業的規模ではないので、雑所得となったのです。

一時所得は収入に直接要した金額が必要経費となりますが雑所得の場合は所得を生むための費用ということで、その必要経費の範囲が広ですから一時所得とはちがい、ハズレ馬券も必要経費として認められたというわけです。

8.雑所得も経済活動

雑所得と事業所得の違いは何でしょうか?事業所得は規模が大きい経済活動です。これに対して雑所得は事業規模でない経済活動となります。今回の件では、男性は配当金額を再投資に回すという反復的な経済活動をしたという労働が認められたのです。ですから一時所得ではなく、雑所得となり、ハズレ馬券も、当たり馬券を生むための必要経費と認められたということになります。

いかがでしょうか?今回の件ではハズレ馬券は雑所得を生む経費と認められました。ですが一般的には競馬はギャンブルであり一時所得だと位置づけられています。ですから50万円を超える配当を受ける場合は要注意です。300万の配当収入があったとしても、使った金額が600万なら利益はマイナス300万です。

さらに、使った金額600万のうちに当たり馬券は少しですから、税金は300万から当たり馬券代金と一時所得の特別控除額50万を引いた2分の1に税金が課税されるので、さらにマイナスが増えるということになってきます。競馬で利益を出すということは一攫千金を狙うしかないのでしょうか?

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