担保なしで創業融資が受けられる制度

担保なしで創業融資が受けらえる融資制度は2つあります。

1つは、地方自治体の制度融資です。

もう1つは、日本政策金融公庫の新創業融資制度です。

まず、制度融資から見ていきましょう。

 制度融資(市区町村、都道府県)

制度融資は、担保は不要です。しかし信用保証協会の保証を受けなくてはなりません。

制度融資の仕組は、地方自治体が資金を出して、金融機関が融資の代行を行います。この時、融資を受けようとする人は、その地区の信用保証協会の保証を受けます。この保証を受けることにより金融機関が融資を実行します。

信用保証協会と保証委託契約という契約を結ぶわけです。保証料が必要となります。

信用保証協会の役割は、もし融資を受けた人が、お金を返せなくなった時に、その人に代わって返済してくれることです。

返せなくなると、信用保証協会に求償権という権利が発生し、この権利が行使されます。

保証協会は融資を受けた人に返済計画を要求し、融資された金額全額を保証協会に返済するよう要求します。融資の免除という制度はありませんから、確実に全額返済しなくてはなりません。

この返済方法、期間については融資を受けた人が保証協会と返済計画を作って、少しずつでも返済していくことになります。

但し自治体によっては保証料の1部又は全部を補助しているところもあります。

* 求償権とは、他人の債務(借金)を肩代わりした人が債務者本人に対して肩代わりした債務分の金額を請求する権利のことです。(代位弁財とも言います)民法442条、459条に定めています。

又、制度融資は、融資を受けようとする額と同額の自己資金が必要です。1,000万円の融資を受けようとすれば、あらかじめ1,000万円の自己資金を準備しておかねばなりません。

これが制度融資の1つのハードルであり、デメリットです。制度融資の原資は税金ですから、融資条件として厳しくしてあるのでしょう。担保がない代わりにこのような条件がついています。

制度融資の内容は各自治体によってまちまちです。大体どこの自治体も制度融資を行っていますが、それぞれの自治体によって制度融資の目的や政策の内容、そして財政事情によって異なります。

制度融資の難易度

審査が易しいほど創業者にとっては使い勝手がいいのですが、原資が税金の場合は、どれも一般的に厳しいです。

融資申し込みは自治体です。書類は自治体から保証協会を経て金融機関に行きます。従って審査が3回あるということになります。問題は信用保証協会の審査です。日本政策金融公庫の新創業融資制度の審査よりは通り易い、と言われていますが、それでも難関です。難易度は自治体によっても大きく異なります。

創業計画書は、かなり緻密に作成され、融資担当者に対して高い説得力のあるものが要求されます。

参考までに東京都の制度融資をご案内します(概要)

融資の対象:事業を営んでいない個人であって、1ヶ月以内に新たな個人又は2ヶ月以内に法人を設立して都内で事業を開始しようとする者。

創業した日から5年未満の都内に事業所を有する中小企業または、組合。(個人で創業して同一事業を法人化した者で、個人で創業した日から5年未満のものも含む)

融資の使途:設備資金、運転資金

融資の限度:2,500万円 但し、融資の対象は自己資金1,000万円を加えた額の範囲。

貸付期間:設備資金10年以内(据え置き期間1年)
運転資金7年以内(据え置き期間1年)

利率:1.9~2.5%

保証人、担保:連帯保証人 法人の場合は代表者個人 個人事業者は不要

担保:不要

保証料:東京信用保証協会の定めによる。(東京都が保証料の1/2を補助します)

詳細は下記あて問い合わせてください。

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/kinyu/yuushi/yuushi/

新創業融資制度

日本政策金融公庫が行っている新創業支援融資は、無担保無保証です。

対象:新たに事業を始める方、又は事業開始後おおむね7年以内の方

融資限度額:3,000万円(内 運転資金1,500万円)

融資期間:各種融資制度で定める返済期間以内

据え置き期間:各種融資制度で定める期間

年間の金利:2~2.5%

担保、保証人:担保不要、第三者の保証人不要、起業家本人の個人保証不要

自己資金:創業資金総額の10%以上が必要

審査期間:1~1.5ヶ月
* 各種融資制度とは、新規開業資金、女性・若者/シニア起業家支援をはじめ、再チャレンジ支援融資、新事業活動促進資金、企業活力設備資金などの日本政策金融公庫の行う融資制度のことです。

上記は日本政策金融公庫、新創業融資制度の抜粋です。

詳細は下記を参照ください。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html

まとめ

担保なしで創業融資を受けることは可能です。

どこの自治体も経済の活性化は重点事業として行っています。

事業を起こそうとする人は、地元の市役所や商工会議所に気楽に声をかけてください。どこも積極的に応援してくれると思います。ただ何度も言いますが、審査は易しくありません。創業計画書の充実度が決め手となりますので、相当頑張って計画を練り上げなければなりません。

又、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、無担保だけでなく無保証です。保証協会の保証が必要ないのです。当然その分、審査が厳しくなります。制度融資より厳しいです。