仮想通貨の利益を申告しないとバレる?脱税の怖さを知ろう

会社員をはじめ、勤務先で年末調整をやってくれる方にとっては、確定申告は未経験というケースが多いでしょう。

仮想通貨の売買で利益を得たけど、これくらいなら申告しなくても大丈夫じゃない? そう考える方もおられるかもしれません。

ところが、申告を免除されるには年間利益に一定の基準があり、それを知らずに未申告にすると、税務署に発見された場合、余計な税金を払わなければならない事態となります。

そこで今回は、必要があるにもかかわらず仮想通貨売買の利益を申告しなかった場合、脱税とみなされるケースと処分について、具体例をあげ解説します。

脱税するとどうなる? 史上有名な竹井博友脱税事件の場合

所得税を脱税するとどうなるか。

巨額脱税事件として有名なのが、1991年に起きた、不動産会社「地産」社長・竹井博友氏による国際航業株売買益の脱税です。実に55億円の利益を隠し、34億円の所得を脱税するというスケールの大きいものでした。

そのためか、経済事件は執行猶予が付く判決が多い中、懲役4年、罰金5億円という厳しい処罰が下されました。

さらに、竹井氏が経営していた「地産」自体もこの事件で信用が失墜し、2002年東京地裁に会社更生法の適用を申請し、事実上倒産しました。
このように、脱税は本人が罰せられるだけでなく、会社の社会的信用も失い、その代償はあまりにも大きなものとなります。

ばれた場合はどれくらい追徴課税されるのか?

では、ばれた場合はどれくらい追徴課税されるのでしょうか。悪質な場合は重加算税が課せられます。

重加算税はテレビのニュース番組の脱税に関する報道でよく聞く言葉です。領収書を改ざんしたり、本来申告すべき売り上げを架空の会社に付け替えたり、意図的に仮装・隠蔽した場合に課せられるもっとも重い加算税です。

初めての場合税率は最大のケースで40%ですが、過去5年間に無申告加算税・重加算税を課せられたことがある常習の場合は50%とさらに厳しい税率が課せられます。

では、脱税とみなされるかどうかをケース別に見てみましょう。

【ケース1 海外の取引所を利用して取引した場合】

税務署は海外での取引まで調査するのでしょうか。国内取引所だけでなく、バイナンスやビットレックスといった海外取引所を利用する方もおられるでしょう。

日本の所得税法では、日本に住んでいる限り世界中のどこで取引されたものでも確定申告が必要と定められています。

具体的な調査方法としては、国内取引所の履歴から現金の出金や仮想通貨の移動などを見て、海外取引所で取引された可能性を割り出していきます。

そのため、すぐにはわからなくても調査されれば海外での取引もすべて把握されると考えた方がよいでしょう。隠し通するのは至難の業です。

【ケース2 円に替えずにそのまま買い物した場合】

このケースについては、国税庁が下記の通り、見解を発表しています。

「ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます」(所得税法27、35、36)

要約すると、ビットコインの含み益で買い物すると所得税の対象になり、事業所得における必要経費になる場合を除き、原則として雑所得に区分されるということになります。

脱税になる可能性ですが、30万円で購入したビットコインが50万円に値上がりし、ビックカメラで50万円分の家電をまとめ買いした場合などは、使用履歴が明確なため脱税とみなされるでしょう。

一方、ビットコインは24時間取引で常に価格が変動するため、100円台のこまごまとした日常的な買い物までを利益で買ったと把握することは困難と思われます。

【ケース3 他の仮想通貨と交換した場合】

仮想通貨同士を交換した場合は、等価交換であれば利益が出ていないので脱税になる心配はありません。

評価額に差がある場合は申告が必要でしょう。ただし、仮想通貨に関しては法の整備が追い付いておらず、そのあたりの見解は今後変わることも予想されます。

【ケース4 架空名義で取引した場合】

銀行や証券会社には提出が義務付けられているマイナンバー。仮想通貨は金融商品ではありませんので、今のところ取引に際して提出する必要はありません。

ではそれを利用して架空の名義で登録して課税を逃れる人もいるのでは?とも思いますが、税務署は取引所の取引履歴データから割り出しますので、現実には難しいでしょう。

額が大きく、不審な点があれば映画でおなじみのマルサ(国税庁査察部)が徹底的に調べ上げ、本人を特定することになります。そうなれば確実に重加算税が課されますので、まったく割に合いません。

仮想通貨の利益は正直に申告すべし 自分で申告するなら仮想通貨専門申告ソフトが便利

では、脱税とみなされないように正しく申告するにはどうしたらよいでしょうか。1つは税理士に依頼することですが、こちらはかなり費用が掛かります。そこで、自分で申告したいという方におすすめなのが、仮想通貨専門の申告ソフトです。おもなものとして下記の2つのソフトをご紹介します。

●Keiry(ケイリー)
〈特徴〉取引所の取引・入出金履歴や残高を自動取り込み。損益レポートも出力できるなど、専門ソフトならではの機能が便利です。
〈利用料金〉無料

●Coin Tool(コインツール)
〈特徴〉仮想通貨に詳しい税理士が監修しているので、安心感があります。仮想通貨の売却・利用・交換・分岐など幅広いケースに対応可能です。
〈利用料金〉4,500円

上記のように、ソフトによって無料・有料があり、扱う項目も異なるので、サイトを確認の上で申し込むことをおすすめします。

基本的なことですが、仮想通貨取引をしたからといって赤字で税金を課されるということはありません。利益があったからこその課税ですので、税金を払うということは、「今年は儲かったのだな」くらいに思えばよいのです。

脱税は決して許されることではなく、発覚した場合の結果は重大な事態を招くことを肝に銘じる必要があります。


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