中小機構・海外ビジネス戦略推進支援事業とは、TPP協定参加予定国において、新規市場を開拓、獲得したいという関心を有する中小企業および、小規模事業者を対象に、海外進出時に必須となる、海外事業計画の策定、フィジビリティ・スタディ(S/F、市場可能性調査)、販路拡大やPR活動を目的としたWebサイトのローカライズ(現地語翻訳)などの支援を行うための助成金事業です。

なお、当該事業にて対象となる「TPP協定参加予定国」とは、日本を除いた、アメリカ、オーストラリア、カナダ、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナム、ペルー、マレーシア、メキシコの11か国を指します。

助成対象はTPP協定参加予定国に限定されておりますが、逆に該当国にて、新規の事業展開を検討している事業者にとっては、非常に友好的な助成金事業であると言えます。

主な支援内容

当該事業により支援を受けることができる内容としては、主として以下の3つがあります。

①海外事業計画策定支援(必須)

申請時に作成する海外展開計画書をもとに、各事業者が自ら「事業環境分析」や「ビジネスモデル分析」などを行うことで、海外事業計画を策定してゆきます。その際には、中小機構による専門家チームからのアドバイスを適宜受けながら策定してゆくことになります。

②海外での現地調査(F/S)支援(任意)

①で策定した海外事業計画をベースとして、まずは国内において予備調査を行い、問題点、課題点の洗い出しなどを行い、実際の現地調査において、何を調査すれば良いのかを予測し、必要な情報をより効率的に獲得することができるように検討してゆきます。

その際には、中小機構から派遣される専門家による、事前国内調査の検証、現地調査への動向、および現地でのアドバイス、現地調査後のフォローアップ、調査経費の一部補助などが得られます。

③海外取引実施を目的とした外国語Webサイト作成支援(任意)

海外にて販路拡大や、PR活動の推進を行う目的として、現地語のWebサイト作成支援を行います。その際には、専門家によるサイト作成、運営、管理に係るアドバイス、翻訳費、Webサイト作成費の一部補助が得られます。

助成対象額

助成対象額としては、市場調査費、翻訳・通訳費、旅費、海外取引実施を目的としたWeb作成費用などが対象で、補助率は補助対象経費の3分の2となります。

ただし、限度額が設定されており、補助金対象経費上限の300万円のうち、200万円までとなっております。なお、注意が必要な点として、外国語Webサイト作成費用については、補助対象経費の上限が150万円のうち、100万円までが限度となります。

申請方法、受付期間

申請方法は、中小機構のホームページから申請書および公募要項、海外展開計画概要記入シート、誓約書をダウンロードし、必要書類を中小企業基盤整備機構各地域本部宛に送付します。

なお、海外展開計画概要記入シートには、「投資型」と「輸出型」でフォーマットが違いますので、それぞれ適当なシートを用いてください。必要書類は前述の書類のほか、決算書類(投資型で3年分、輸出型で1年分)、会社概要およびパンフレット、組織図、事業計画書、製品カタログ、資本構成のわかる資料が必要となります。

受付期間は、平成28年1月29日(金)~平成28年3月31日(木)までで、受付期間内に郵送にて必着で送付する必要があります。

今後の見通しについて

当該事業は、平成27年度補正予算成立に対応したTPP関連事業で、対象国は11か国に限られております。

しかしながら、平成28年度通常予算が成立すれば、これとは別枠で海外ビジネスの支援事業が開始されると予想されています。その際には、11か国の対象国制限がなくなる見込みです。

また、募集要件さえ合致すれば、双方に応募いただくことも可能です(双方に採択されることはない)ので、TPP協定参加予定国に進出する予定がある事業者は、積極的に応募するのが良いでしょう。

また、該当国から外れている場合にも、新たな事業がスタートする可能性が高いですので、中小機構の動向は常に捉えておいて損はないと思います。