政治状況や米国の政策による影響に十分な注意が必要
スワップ狙いの通貨ペア取引は、大きな数字を取ろうと思えば思うほど新興国通貨を利用せざるを得ない状況となってきています。しかしこうした新興国ではつねに付きまとうのが政治的な状況による通貨への影響の問題です。
これはまさに新興国ならではですが、政権の政策運営のあり方が猛烈に通貨の動きに影響を与えることになるのです。これはGDPや経済指標の結果以上にシリアスな問題であり、長く保有してスワップを獲得しようと思えば思うほど意識しておかなくてはならない事柄のひとつになってきています。
ただ、日本国内にいると掌握できることとできないことがあるのも事実ですから、海外のメディアを検索してみるといったこともある程度必要になってくるものです。
最近は翻訳ソフトなども提供されているネットサイトがありますので、英語の資料やサイトなどもこうしたものを使って確認してみることがお勧めとなります。とくに南アフリカ、トルコといった国は欧州圏のメディアで多くの情報が提供されるケースがありますので、ポジションをキープしているときには、一定の目配りをしておく必要があります。
政治状況の把握なしに闇雲にポジションをもつというのはやはり危険なことになりますし、わかっていてあえて売買するのと、何もしらずに売買するのとでは、かなり異なるものとなってしまうのです。それでもトルコや南アフリカであれば他のまったくよくわからない新興国にくらべてばまだまだ情報は検索できものといえます。その気になればある程度の情報は集められる国ですから、意識的にそうした情報収集を心がけることが重要です。
また米国の経済、金融政策がどのような影響を直接的、間接的に与えることになるのかについても気配りが必要になります。米国FRBは新興国にも配慮した動きを考えるなどとしていますが、実のところFRBは自国の経済政策のためだけに政策を実行するのが常で、他国、とりわけ新興国にはほとんど配慮しないというなかなか厳しい存在となってしまっています。
実際2013年にはQEの終焉でテーパータントラムと呼ばれるかなりシリアスな影響が新興国に出たことは記憶に新しい状況です。とくに今年後半にかけて実施されようとしている米国の利上げは、単なる利上げというよりはこれまでの金融政策を大きく変化させるきっかけとなるものであり、新興国に影響が出る可能性はきわめて高くなっているといえます。
そうした影響に対する兆候はできるだけ早くチェックし、危ないと思ったときには一旦相場から退場して様子をみるといった勇気ある行動も必要になるものなのです。あまり相場を過信すぎない、臆病な姿勢というものも実はここ一番のリスク局面では自分自身を救ってくれる大きなポイントとなることもあるのです。FXといえども投資ですから、リスクがつきまとうことは間違いありません。
しかしどこまでリスクテイクし、どこからはヘッジをするのかをしっかり理解していませんと、闇雲に心配することになってしまいますし、逆に妙に気が大きくなってしまうことにもつながりかねないのです。特にFXといえども新興国投資はさまざまな目にみえないリスクを被る可能性があることだけは、常に意識しておく必要があります。スワップ狙いの売買ということであれば、それほど大きな危険と向き合っているわけではありませんが、それでもドル円などの売買をするのと比べればかなり異なるリスクと向き合わなくてはならないのです。
そのあたりは、しっかり認識してあまり安易な行動はとらないことが重要となります。どの通貨ペアでスワップを狙うにしても基本的にいつもこうした行動規範と言うものを意識しておくことが肝要なのです。
