ドルストレートでスワップを獲得してみるという方法
日本人の個人投資家の場合には、スワップ狙いでの取引を考える場合、ほぼ9割以上が円との組み合わせ、つまりクロス円での高金利通貨の買いを考えることになります。
しかし、これまで書いてきていますように、こうした通貨はほぼ全員に近い投資家が買い向かう形となるため、相場が下がった場合には、またまた全員が極めて似た様なタイミングで売りを出すことになるので、正直なところ下落タイミングでは非常に流動性を欠いてしまうことになるのです。
これは豪ドル円、NZドル円をはじめとしてトルコリラ円、南アフリカランド円もそうですが、ほとんどこうした通貨では実需が存在しないため、一方向に動きはじめると流動性を欠いてしまい、まさかのときの損失も大きくなりがちとなってしますのです。そこで考えられるのが、米ドルと高金利通貨の組み合わせで売買してみるという方法になります。
現状では米ドルの金利が上がろうとしていますから、円と比べると多少スワップポインドも低く抑えられがちになりそうですが、米ドルとの組みあわせでいいのは、確実に実需があるということです。たとえば豪ドル米ドルやNZドル米ドルなどは豪ドル円やNZドル円とは比較にならないほどの取引量がありますので、スワップ狙い以外の実需の流動性も高くなり、万が一売りになったときでもそれなりに売りをカバーできるだけの取引量があることがおおきなリスクヘッジとなるのです。
これは南アフリカランドやトルコリラでも同様で、世界の基軸通貨である米ドルとの組み合わせはもしものときに売りでも円ベースよりかなり安心して売買できるというメリットがあるのです。ただし、1ドルは125円見当の金額になりますから、大きなスワップがつくといってもコストも大きくなることが予想され、円とまったく同じとはなかなか言えない部分もでてくることだけは注意が必要となります。
通貨ペア |
政策金利 |
1万通貨レバレッジ1倍コスト |
スワップ金利(円) |
年間想定利回り |
---|---|---|---|---|
NZドル円 |
2.50% |
850,000円 |
77円 |
3.3069% |
豪ドル円 |
3.00% |
950,000円 |
55円 |
2.1131% |
トルコリラ円 |
7.50% |
465,000円 |
128円 |
10.004% |
南アフリカランド |
5.00% |
98,000円 |
16円 |
5.9591% |
ドルルーブル |
12.50% |
1,236,213円 |
378円 |
11.160% |
ドルトルコリラ |
7.50% |
1,238,500円 |
335円 |
9.8728% |
(2015年6月時点 各通貨ペアごとにスワップの高いFX業者 SBIFXトレード、サクソバンク証券、外為どっとコムなど)
既出の表をごらんいただくとわかりますが、1倍のレバレッジでの1万通貨のコストはトルコリラ円とドルトルコリラではこれだけ異なってきますので、大きな資金を必要とすることがある点は取引しにくいデメリットにつながることもあるというわけです。
また、こうしたドルストレートでの通貨ペアということになりますと売買設定できる会社が決まってくるという問題も起きることになります。まず間違いのないバリエーションが用意されているのは、サクソバンクですが、国内系の会社でいいますとヒロセ通商にも結構なバリエーションが用意されています。
ドルストレートの場合ですと、スプレッドが結構広いと言った問題もありますので、一概にこちらのほうが絶対いいと言ういい方はできませんが、円と比較してみるという研究はしてみてもよろしいのではないでしょうか?特に外貨同士ですといくらのコストなのかといったことがぴんとこないことも多いですが、落ち着いて冷静に計算してみると納得のいく通貨ペアが見つかることもありそうです。
ちなみにこうした外貨同士の通貨ペアの証拠金がいったいいくらかかるのかを計算できるシミュレーションの計算サイトをオアンダが用意してくれていますので、英語になってしまいますが、一度利用してみるのも役に立つものとなりそうです。
http://fxtrade.oanda.com/analysis/margin-calculator
ひとつだけ確実に言えますのはどんな通貨でも米ドルとの組み合わせの場合にはスワップ以外の実需が必ず発生しますので取引はしやすくなるということです。トルコリラ円の売りなどというのは実需ではまったくといっていいほど発生しないものですし、そもそもドル円とドルトルコリラの掛け合わせによって生成されているものですから、ドルストレートで売買をしてみるというのも、実はそれほど見当はずれの取引ではないものとなるのです。
