徐々に妙味のなくなりつつある豪ドル円、NZドル円

徐々に妙味のなくなりつつある豪ドル円、NZドル円

TOPの記事でも書いてありますが、これまで日本人の個人投資家にとっては定番中の定番となってきた豪ドル、NZドルといった資源国通貨のスワップポイントが見る見るうちに減少中であり、この2つの通貨は今後も中央銀行の切り下げ政策のためにさらに金利が低く成るリスクに直面しています。

 

現状では日本は金利上昇の見込みはまったくありませんからどこまで行ってもスワップ金利がなくなることはありませんが、豪ドル円ではすでに1万通貨で50円を切るラインにまで来ており、往年の高金利通貨の面影はなくなりつつあります。

 

しかも全体として通貨を切り下げたい中央銀行が手練手管で通貨安を演出しようとしていますので、スワップを獲得するために買いで臨まなければならない投資家にとっては必ずしもおいしい存在ではなくなりつつあります。

 

とくに豪ドルは鉄鉱石価格が5割安になっているので少なくとも2割から3割以上通貨を切り下げたいのは間違いなく、しかも経済の様子がおかしくなっている中国の影響をもろに受けますので、もっと通貨が下落するリスクを常に抱えることとなっているのです。

 

またNZドルも乳価の下落は深刻で、同国最大の乳製品企業のフォンテラの入札価格は、豪ドルの鉄鉱石と同様に5割以上下落しており、現状の10%程度の通貨安では追いつかない状況に陥っているのです。

 

こうした根本的な問題を抱えているのが豪ドル、NZドルですから、これまでの既成概念で高金利通貨として認識すること自体に無理が生じてきていることを痛感させられます。世界的な通貨安戦争の中にあって、豪ドルとNZドルだけが高金利を維持すると期待すること自体が幻想に近いものとなりますので、このあたりの認識は市場の状況を冷静に判断していくことが必要となるのは言うまでもありません。

 

またクロス円という架空通貨の性格上、実需が支えている部分がほとんどないのも大きなリスクであり、ひとたび売りが加速するとほとのどのプレーヤーがポジションをほぼ同じ時期、同じ相場レベルで一斉に投げることとなるため、流動性のある通貨に比べて非常に脆弱な局面に遭遇することもありうるのです。

 

そもそも金利で稼ぐという方法自体が、主要国通貨では難しくなりつつあり、今後米ドルが一定の金利上昇を果たした場合、ドル円のほうに妙味が出てくる可能性もあるのです。

 

もうひとつのまさかは日本国債の売り浴びせによる日本の金利上昇

今のところほとんど市場参加者が想定していないもうひとつのリスクとしては、まさかの日本の金利上昇という問題です。そんなことがあるはずないと思われるかも知れませんが、最近の事例では、ドイツの10年もの国債はマイナス金利になるとほとんどの債券投資の関係者がにらんでいたにもかかわらず、結果として1ヶ月に1%にまで跳ね上がる状況となり、多くの市場参加者が莫大な損失を抱えることとなっています。

 

日本国債も現在の日銀による財政ファイナンスまがいの量的金融緩和に対し世界の債券市場がリスクを感じれば売り浴びせがおきる可能性もあり、特に今後2017年ごろには、もはや1000兆円を超えている国債を国内の投資家だけでは支えきれない可能性もでてきているので、日本の金利が上昇する局面はまったくない話ではなくなってきてしまっているのです。

 

仮に2%などの金利を示現することとなれば、こうした既存の低金利にもとづくスワップ狙いの売買もほとんどワークしなくなるということだけはしっかり認識しておく必要があるのです。スワップ狙いのFX投資は、つねに状況が変化することを想定し、ステレオタイプ的に判断しないことが重要になるのです。いまやそういった時代が到来しているということなのです。

 

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