中央銀行としては異例の豪ドル安誘導を行うRBA(豪中銀)
RBA(豪ドル中銀)というとスティーブンス総裁の豪ドル安誘導が非常に目立つ存在となっています。2014年末に豪ドルの適正レートは0.75米ドルと、中央銀行としては異例の具体的な水準発言にまで及んでおり、本格的に事項通貨の切り下げ競争にオーストラリアが参戦してきていることが伺えます。
通常は中央銀行は為替のレベルについて具体的に言及しないことが不文律になってきたのですが、RBAやRBNZなどはあからさまに不快感を出してきますし、公式的な会見上で平気で具体的な水準について言及してきますので、当然指摘を受けた当座は豪ドルドル(AUD/USD)を中心として下落が加速することになります。
過去1年ほどの豪ドルドル(AUD/USD)の動きを見てみますと、明らかに大きく下落するようになっており、スティーブンス総裁が0.75を口にしてからはその水準に近くなる動きとなっていることがわかります。毎回こうした口先介入がどこまでワークすることになるのかは判りませんが、少なくともドルストレートである豪ドルドル(AUD/USD)ではかなり価格が下落するようになっています。
豪ドル円は独特な動き
ご存知のようにクロス円というのはある意味で架空通貨となっているものです。豪ドル円であれば、豪ドルドルとドル円の掛け合わせによって生成される価格であるため、実需的なニーズはほとんどないといえます。国内でもカバー先の銀行はプライスは出しますが、実際にはほとんど扱っているインターバンクはないのが実情です。
豪ドルドルについも豪州系の銀行4~5行がメインで扱っているだけですので、クロス円になった豪ドル円も下げると大きく下押しするケースが多いのです。最近の傾向としてはドル円が比較的下げないことからクロス通貨での豪ドル円も豪ドルドルに比べると高値で推移していますが、豪ドルドルの動きによってはかなり下げることも意識しておく必要があります。
国内では多くの個人投資家が扱う通貨ペアながら流動性はきわめて乏しいのが特徴
豪ドル円はスワップポイントがつくことからかなりの日本人投資家が常時買いを入れてくる通貨ペアとなりますが、業者がカバー先として利用しているインターバンクでは、ドル円と豪ドルドルにわけてカバーしているケースがほとんどですから、この二つの通貨ペアの動きにかなり左右されることになるわけです。
またほとんどの投資家は売りではなく買いで向かっていますので、ある一定の価格を超えて下がり始めると買いもちをほぼ同じようなポイントで損きりしようとするため、異常に価格が下落することなるという特殊性についても理解しておく必要があるのです。
豪ドルドルが下落局面で、ドル円が下落することになると、掛け算通貨である豪ドル円は実需の支えもまったくありませんから想像以上に下落してしまうわけです。ですから通常取引をする場合にはこの掛け算通貨ペア二つの動きについてもよく確認しながらポジションを作っていくことが重要になります。
冒頭にも書きましたが、豪ドルドルはRBAのコメントや声明にかなりリニアに反応するようになっていますので、この流れに円高が加わってしまいますと、予想をはるかに超える形で下がってしまうということになるのです。
したがって円が上昇する局面での豪ドルドルの下落の場合には普通よりも増幅して下げが加速することを想定する必要がありますし、そもそも市場参加者がどのあたりにストップロスを置いて売買しているのかについても注意しながら売買していくことが求められます。みながこぞって損切りをはじめてしまいますと、下げがもっとも加速する時期に一緒に下落に加担することになる心配もあるのです。こうした状況はユーロ円以上に豪ドル円ならではの動きとなっているということができます。
