精神科看護師としてアルコール中毒の患者さんに看護対応したときの体験

看護学生や看護師として現在働いていらっしゃる皆さんの中で精神科看護というものにどのような印象を持っているでしょうか?

  • まず良い印象として
  • 患者さんと向き合える時間がある。
  • 患者さんと向き合えることによって働きがいややりがいを感じる。
  • 一般の病棟と比べて緊急手術や緊急検査などがなく時間に追われることが少ない。
  • 処置や検査に追われることがない。

次に悪い印象として

  • 病気自体が目に見えないため看護がしにくい
  • 仕事の内容が看護師がやるようなことではないことがある。
  • 身の危険を感じることがある。
  • どちらかというと悪い印象が多いのかな?と感じました。

ヨッシーも勤務したことがある精神科病棟

ブログでもご紹介させていただきましたが、私もかつてはるか昔に非常勤ですが精神科に勤務したことがあります。

参考:非常勤で精神科看護師として閉鎖病棟に勤務したときのこと。

准看護師の養成校に通学していた時に既に精神科の病院に看護助手をしながら通学していた同級生がいました。

男性だったのですが「卒業して正看護師の学校に行って卒業したら俺は精神科一本で看護師としていきていく。」

と呟いたのを覚えています。看護学校の同窓会で再会した時にもやはり精神科で働いていました。

私の精神科に対する印象として

疾患が目に見えないそれゆえに分からなくなったりどう看護したら良いか戸惑ってしまう。

その逆に分からないからこそ勉強して身につけたことが看護に行かせた時これほど嬉しかったことがないこと。そしていい意味でも悪い意味でも怖いということがあることです。

いい意味での怖いということはどういうことなのか?というと前述したように精神科看護は疾患など精神の病気というものは目に見えません。

また触れる機会というのは少ないと思います。

だから自己学習などしないと怖くて現場に出ることが怖くなってしまいます。しかし知識や技術を積極的に積み重ねることによって自分のものになっていきます。

悪い意味での怖いとはこちらが素晴らしい看護をしていたとしても患者さんに容易に伝わらないことがあります。

でも克服した時に大きなやりがいと精神科看護に携われたことに対して大きな自信と誇りを持つことができるでしょう。私はそう思います。

私の精神科看護の体験

非常勤でしたが、日勤も夜勤も精神科病棟での経験があります。

配属先は男子の閉鎖病棟です。どのような病棟かというと鍵がないと中にも入れませんし外にも出れません。

中にいる患者さんはどんな病気の患者さんがいたかというとアルコール中毒、躁鬱病、精神分裂病(当時はそのように言われていますが差別用語として相応しくないということで現在は統合失調症と呼ばれています。)の患者さんがメインでした。

いうまでもありませんが、アルコール中毒の方はアルコールをどうしても断ち切れない方、躁鬱病は躁と鬱を繰り返してしまい社会的に適応できない方、統合失調症の方は妄想や幻覚などによって人格が崩壊してしまう方です。

日常生活動作(ADL)は自立しています。その点ではオムツを交換したり食事の介助をしたりする患者さんはいませんでした。

ある朝アルコール中毒の患者さんのKさんが朝食後の散歩(病院の敷地内)が医師から許可されていました。

まだ当時は三十代の患者さんでアルコールがやめられずに仕事や家族までも失い飲酒運転で何回も検挙されて刑務所に入ってしまった患者さんです。病棟の入り口でKさんが約束の時間が経過しても帰ってきませんでした。

一瞬嫌な予感がしたので敷地内を探したところKさんが病院の敷地内からでていく後ろ姿を発見しました。

走って近づいて行くと

「もうこんなところに嫌気がさしたんだよ!」

私は

「今でていってもまた酒びたりの生活になって行くだけでしょう!」

売り言葉に買い言葉でそんな怒号のような会話を繰り返していると他の病棟から異変を察知した看護師が応援に来てくれてなんとかなだめて無事にKさんを病棟に連れて帰ることができました。

でも私は気がつきました。患者さんの心の叫びというものを聞き取れずに看護してきたのではないか?と。

それこそ目に見えないものなのでそれを掴むということは非常に難しいと感じました。

難しくて大変な精神科看護でも…

現在は精神科学も精神科看護も非常に進歩しています。

精神科?と耳にすると敬遠する看護師さんも多いと思います。

かつては私もその一人でした。今では違います。難しくて大変なこともありますが困難を患者さんと克服した時、他の科では味わうことのできないほどの看護師としての喜びを感じることができると私は思っています。

精神科看護の役割について【精神科看護師になるためには】