看護師をしていて命にかかわる外傷というものに触れたことはあるでしょうか?
このような患者さんは三次救急や救命センターに運ばれてしまいあまり見かけないと思います。しかしいつどこで外傷の患者さんと接するかわかりませんよね。
救急車でなくても普通にタクシーや家族の運転などで来院する方もいます。
外傷救護の体験
私の経験では病院の目と鼻の先で建設工事が行われていました。工事をしていた職人さんが足を滑らせて5メートルから6メートルの高さから転落をしてしまいました。見かけは大きな外傷がなく意識もはっきりしていたので救急車という話も出たそうですが当時、勤務していた病院がすぐ近くにあるからと同僚の方がおんぶして病院まで連れてきました。
夏場だったのでかなり汗もかいていて着ていた作業着も泥だらけなので救急処置室に案内してストレッチヤーの上に寝かせました。着衣を脱がせながら話を聞きながら意識レベルの確認し手と足の動きに違和感をすごく感じたのですぐに心電図モニターをつけ血圧計を巻きながら脱力があったので感覚を聞いたら何も感じないということでした。
呼吸状態は陥没呼吸をしていてすぐに頚椎損傷を疑い頭部保持をして絶対に首を動かさないようにして人を集めました。医師が来て頚椎カラーの装着をしながら愛護的にレントゲン室に運びました。
結果は頚椎の1番目と2番目が脱臼をしていました。点滴や採血、心電図など次から次へと救命処置が施されました。
この患者さんはすぐに脱臼の整復処置をしなければ命にかかわるのでそのまま手術室に消えていきました。もし同僚の方が運んでいる途中で頚椎がもっとずれてしまったら呼吸も止まっていたでしょう。間一髪とはまさにこのことでした。
外傷間患者をむやみやたらに動かさない 外傷死の危険性
外傷患者をむやみやたらに動かなという言葉は一理あるんだなと深く考えさせられました。一般の方は医療に関しては当然のことですがシロウトです。そこに私たち看護師がいた場合はどうしたでしょうか?救急車を呼ぶ方も多いと思います。
しかしちょっとした知識や技術があれば救急車を呼ぶ前に出来ることがあります。
外傷患者をみたら真っ先に疑わなくてはいけないのが脊椎損傷です。
首を動かし体を動かすことによって脊椎の損傷部位が悪化してしまい救命できたとしても一生車いすや寝たきりになってしまう可能性があります。
道具や器具がなくても簡単に処置観察が出来ます。頭部を保持して首や頭、体を動かさないようにします。勿論話しかけますが話しかけたと同時に頭をおさえないと声の方角に顔を動かしてしまいます。この処置だけでもかなり違います。
自信をもって患者さんに接することが出来ます。現場が病院の中なら安全ですが、病院外なら自分が救護される方にならないように自分自身の安全にも十分配慮しなければなりません。
もし安全が確保できない状態なら踏み入れない方がいいでしょう。屈強な消防士でも燃えさかる炎の中には飛び込んではいきません。外傷患者さんの簡単なアプローチですが如何でしょうか?意外にこのことは念頭に置いて接触することが出来ないことが多いです。
もしウォークインできた患者さんでも受傷起点(怪我をした原因やエピソード)がかなりダメージを受けていそうだなと感じたら頚椎カラーを装着し体を動かさないような固定の処置をしても良いと思います。重傷外傷では一刻も早く処置や手術が必要です。状態が不安定になり悪化が進んでしまうからです。
看護師が外傷患者さんのプロトコルを念頭に置いた活動をすれば助からなかった生命もつなぎとめることが出来ると言っても過言ではありません。外傷救護の講習会も開催されています。そんなことを勉強して外傷救護に一歩でも前進しましょうね。