遺産分割協議書は自分でできます。書式や様式もありません。

必要事項が全部、間違いなく記載されておれば有効です。

遺産分割協議書を自分で作られる方は少なくありませんが間違いが多いようです。一字一句間違いないように記載しなくてはなりません。

一字でも間違えると作り直しとなり、相続人の手間が多くなります。特に土地、建物などの表記や住所などを間違える傾向にあります。登記簿謄本や住民票をよく見て、その通りに記載しましょう。

遺産分割協議書を作るために必要な書類とは

遺産分割協議書を作る前に必ず揃えておかなくてはならない書類があります。

① 被相続人の出生から死亡までの除籍謄本、改正原戸籍、戸籍謄本

・ 除籍謄本とは:本人が亡くなったことを正式に証す書類です。除籍謄本は、その戸籍に誰もいなくなったことを証明する為の書類です。戸籍に記載されている人が結婚したり、死亡したりすると、その人は戸籍から抜けます。被相続人が除籍されたという記録が載った戸籍謄本です。

・ 改正原戸籍とは:現行の戸籍より古い戸籍のことです。日本の法律で戸籍法が改正されるたびに戸籍の様式も変更され、その都度新しい戸籍への書き替えが行われます。

この書き替え前の戸籍のことをいいます。新しく書き替えられた戸籍では、例えば父の結婚歴が省略され、子供がいたとしても事実が記載されていません。

父が被相続人になった時、離婚した時の子供の記載がありませんから、その子が相続人扱いになれない可能性があります。そのために改正原戸籍が必要となるわけです。

・ 戸籍謄本:その戸籍に入っている現在の全部の事項を記載したものです。記載されている内容は、両親や養父母の名前、生年月日、続柄、出生地と出生届人の名前、婚姻歴、離婚歴、認知などです。

これら3種類の謄本があって、はじめて被相続人の出生から死亡までの事実関係が分かります。

② 被相続人の住民票の除票、戸籍の附表(被相続人の死亡時の住所を証明するためです)

③ 相続人全員の住民票

④ 相続人全員の戸籍謄本

⑤ 相続人全員の印鑑証明

⑥ 相続人全員の実印

⑦ 遺産分割協議書作成後に、登記簿謄本、預金通帳、車検証、保険証書などが必要です。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の様式に決まりはありません。縦書きでも横書きでもどちらでもよい。複数枚になっても割り印すれば問題ありません。手書き、ワープロどちらでもOKです。

一般的な書き方のサンプルを記します。

① 表題:遺産分割協議書 とします。

② 主旨を明らかにした文章を記載します。

例えば「被相続人〇〇〇〇(平成○○年〇月○○日死亡)の相続財産について、同人の相続人全員で話し合った結果、次の通り協議が調いました」

③ 相続財産ごとに相続する人と財産の内容を記載します。

例えば
第1条(土地、建物)
下記の名義の土地、建物は相続人○○○○が取得することになりました。
不動産の表示(土地の場合)
・ 不動産番号
・ 所在
・ 地番
・ 地目
・ 地積

不動産の表示(建物の場合)
・ 不動産番号
・ 所在
・ 家屋番号
・ 種類
・ 構造
・ 床面積

第2条(預金)
下記名義の預金は、相続人○○○○が取得することになりました。
○ ○銀行 普通預金 口座番号○○○○
○ 〇信用金庫 定期預金 口座番号○○○○

第3条(その他)
ここに記載されていない相続財産は相続人○○○○がすべ取得することとします。

④ 締めの言葉を記載します。

例えば、この通り遺産分割協議が成立したので、これを証するために本書を作成した。

⑤ 作成年月日を記載します。

⑥ 最後に相続人全員の住所、氏名を記載し押印(実印)、押印(捨印)します。

捨印を忘れないようにしましょう。以上イメージとして参考にしてください。

自分で作成することは可能だが専門家のチェックをするべき

遺産分割協議書は、不動産や現預金、株式などの名義変更には必ず必要です。また相続税の申告にも添付する重要書類です。

遺産分割協議書の作成は誰でもできます。

しかし間違いが多いので、できれば完成したら専門家にチェックしてもらうといいです。その専門家とは、司法書士、税理士、弁護士、行政書士です。

依頼して作ってもらう場合はこの4種類の専門家となります。作った後の対応はそれぞれ異なってきますから要注意です。

おすすめは相続税に強い税理士に依頼することをおすすめします。

相続放棄は相続開始から3カ月以内となっています。

遺産分割協議を作成する過程で思わぬ借金等がわかることもあります。相続放棄の選択ができるように早めの対応をおすすめします。