イベントなどでの救護活動【フルマラソンでの看護体験】

スポーツイベントでも何かの事故があった時に看護師はすぐ駆けつけられるよう待機しています。今回はフルマラソンでの看護体験についてお話ししたいと思います。

マラソン大会や運動会コンサートなどはたくさんの人が集まります。それだけたくさんの人が集まると、けが人や急病人が発生します。そんな救護活動にも看護師は活躍しています。

ある大きなマラソン大会に参加したとき、救護所をコースの途中に何カ所か設けてありました。そこには医師や看護師、救急隊など不測の事態に備えて待機します。医療行為が出来るので点滴や薬品類、AED、捻挫や骨折に備えての固定をする器具など様々です。

(マラソン大会の看護活動に参加するきっかけは「マラソン大会の看護師の救護体験」の記事を参照ください)

フルマラソンとなると距離が長く体にも負担がかかるので途中でリタイヤする方や疲れたり具合が悪くなり救護所に訪れたり運ばれたりします。あるタレントさんが大きなマラソンに参加中倒れてしまい原因が心臓だったのでAEDで救命できたお話をご存知でしょうか?イベントの救護活動も中々、侮れませんよ。大切な命を守るのですからね。

長距離を走ると足に負担がかかり足が痛い、足がつってしまった、ということが多かったです。そんなときは少しでも楽になるように休ませ軽くマッサージをします。

また、そのマラソン大会は秋でしたが気温が高く晴天だったので脱水になりそうな方が多かったのを覚えています。

もちろん、途中で水分補給をするところがあるのですが、上位を狙うあまり水分の補給をしない方が多くいました。そんな方にも救護所では水分の補給を促しました。

なかには途中で転んでしまい、膝や手を血だらけになってかけ込んでくる方もいます。そんなときは骨には異常がなさそうなので怪我をした部分を洗浄してガーゼや絆創膏で応急処置を施しレースに戻します。

マラソン大会での緊急事態 AED

そして、軽症者が多い中、絶対に起きてほしくないことが起きてしまいました。それは胸が痛い苦しいという方でした。

すぐに簡易ベッドに寝かせ走ってきたせいの汗なのか胸痛での冷や汗なのか判断は出来ませんでしたが、とにかく早く汗を拭き取りAEDのパットを胸にはりました。

意識ははっきりしており、血圧や脈拍等のバイタルサインの測定に移りました。話を聞くと心臓での既往歴は特にないとのことでした。呼吸苦もあったので医師の指示で酸素投与が始まり呼吸苦はおさまりました。

万一のことも考えて点滴も指示が出たので点滴も行おうとしましたが血管が虚脱していて中々、点滴の管を入れる血管が中々見つかりませんでした。(今考えると脱水もあったと思います。)

ようやく血管が確保でき点滴も開始されました。症状があまり改善されなかったので待機していたDr.カーがあったのでそれで病院に搬送が決まり、近くの病院に行ってしまいました。

看護師が行った処置

ここで看護師が行った処置は以下の3点でした。

  • AED
  • 酸素投与
  • 点滴

AEDパットの装着やAEDに通電させ電気ショックの適応があったら電気ショックをしても問題はありません。酸素投与も包括的なので看護師の判断で行っても問題はないと思います。

ただ点滴ですがこれは看護師の独断では出来ません。医師の指示が必要です。

数年前に救急救命士が偶然にも交通事故現場に遭遇し、自分の車に積んであった点滴を交通事故現場で医師の許可なく行ってしまいました。医師の指示もなくまた救急救命士は仕事以外の医療行為は認められておらず、生命兆候のある人に点滴をやっては行けないとという法律があります。

結局その方は医師法違反で停職六ヶ月の処分をいわれましたが、やむを得ず退職をしてしまいました。

看護師は仕事以外でも唯一、医療行為が出来る資格です。しかしむやみやたらに色々な医療行為をしてしまったらこの救急救命士のようによかれと思ってやったことでも罪に問われることがあります。

今回のマラソンのケースでは医師の指示があったからできたのです。

イベントでの看護活動は病院の中とは違い、法律が絡んでくることがありますので注意が必要です。

一方で、現場での看護活動は自分の力が試される場面でもあります。普段の臨床で得た力や知識を思う存分発揮できるイベント救護は難しいですが、またとても楽しいので経験する価値はあると思います。