改正!相続税の罰則が強化~平成29年1月から払う罰金が増えます~

こんにちは。

「相続税なんて絶対払いたくない!」

「そもそも、親の財産を相続してなんで税金を払わなきゃいけないの?」

このような声をよく聞きます。

わかります。すごくわかります。。。「相続税を支払わなければならない理由」を、いくら理論的に説明しようとしても無理があります。親が税金を払うだけ払ったのに、死んだら残った金からまた税金払えって言われるんですから。。これは二重課税ですよ。

ただ、不満だけならいくらでも言えばいいのですが、本当に払わない人がいるのは困ったものです。

平成29年1月1日以降、相続税の罰則が強化されてしまいました。払わなかったり無視をすればもっと損をすることになりますので、正しい理解が大切です。

変更① 無申告加算税の引き上げ~税務調査の通知が来たらピンチ~

無申告加算税とは、正当な理由なく、相続税の申告期限(相続発生から10カ月以内)までに申告しなかった場合に課される罰則です。

要は、相続税を無視したり、申告しなければいけない事を知らなかった人に対する「罰金」とイメージしてください。相続税も納めた上でさらに罰金(無申告加算税)も払わなければならないということです。

無申告加算税の金額と変更内容

無申告加算税は、状況によって以下の金額がかかってきます。

(1)申告期限までに申告せず、期限後に自主的に申告するとき
⇒納付税額の5%(従来から変更なし)

(2)税務調査の通知が来た後、すぐに対応して申告するとき
⇒納付税額のうち50万円までの部分・・・その金額の10%(変更前は5%)
納付税額のうち50万円を超える部分・・・その金額の15%(変更前は5%)

(3)実際に税務調査を受け、指摘されてから申告するとき
⇒納付税額のうち50万円までの部分・・・その金額の15%(従来から変更なし)
納付税額のうち50万円を超える部分・・・その金額の20%(従来から変更なし)

改正で変更があったのは(2)の部分です。これまでは税務調査が入ると通知があったときに、指摘される前にすぐに申告してしまえば5%の加算だけで済んでいましたが、今後はこのやり方が通用しなくなりました。税務調査の通知が来たらかなりピンチ!と考えてください。

悪質な場合だけでなく、自分に相続税がかかると知らなかった人も同様の罰則がかかります。やはり相続税がかかるかどうかの判断は、専門の税理士に相談してきちんと判断することが賢明ですね。

変更② 過少申告加算税の引き上げ~税務調査の通知が来たらピンチ~

過少申告加算税とは、相続税の申告はしたもののその申告書の金額が不足していた場合に課される罰則です。わざと少なく申告していたり、隠したりしている場合は「重加算税」という別の罰則がかかります。

真面目に申告したけど間違えていた場合とお考えください。

過少申告加算税の金額と変更内容

(1)自身で気がつき自主的に修正申告した場合
⇒0%(変更なし)

(2)税務調査の通知が来た後、すぐに対応して申告するとき
⇒納付税額のうち50万円までの部分・・・その金額の5%(変更前は0%)
納付税額のうち50万円を超える部分・・・その金額の10%(変更前は15%)

(3)実際に税務調査を受け、指摘されてから申告するとき
⇒納付税額のうち50万円までの部分・・・その金額の10%(従来から変更なし)
納付税額のうち50万円を超える部分・・・その金額の15%(従来から変更なし)

改正で変更があったのは(2)の部分です。なんかセンスのない変更ですね。無申告加算税と同様、これまでは税務調査の通知が来てからすぐに申告すれば罰則がかからない場合がありましたが、今後は通用しなくなりました。

また、これまでは納付税額のうち50万円を超える部分については一律15%かかっていましたが、申告するタイミングにより10%と15%の二つに分かれました。この部分だけみれば罰則が減る部分もあるということですね。

変更③ 過去5年以内に罰則の対象となった人、2回目はより加算!

過去5年以内に、税務調査の指摘により無申告加算税や重加算税の対象となった場合、その人に課される2回目以降の罰則は+10%増加することになりました。

これまでは2回目であっても、もう一度同じ罰則がかかるだけでしたが、2回目はより罰則が大きくなるということです。

対象は「無申告加算税」と「重加算税」に限られます。無申告加算税については上述していますので、参考に重加算税について記載します。

重加算税(参考)

重加算税とは相続税の納付額を減らすために、わざと納付額を隠したり嘘の申告をした場合に課される罰則です。罰則の中では1番重く、これ以上悪質になると刑事罰なり「逮捕」や「懲役」、「罰金」の対象となります。

(1)期限内に申告していた場合
⇒納付税額の35%(2回目は45%)

(2)それ以外の場合
⇒納付税額の40%(2回目は50%)

正式な適用はいつから?~平成29年以降の「申告」から適用~

上述した相続税の罰金の適用は平成29年からです。

より正確にいうと、「相続税の申告期限」が平成29年1月1日以降の場合です。

相続税の申告期限は相続発生(死亡)後、10カ月以内ですから、つまりは、平成28年3月1日以降にご家族が死亡された場合に適用されます。

最後に~相続税の申告は出来るだけ早く税理士に相談を~

以上、平成29年からの相続税の罰則について紹介させていただきました。いかがでしたでしょうか。

今回は「改正」や「変更」という視点で解説しましたが、相続税の罰則については摘発事例も載せたより詳しい記事がありますので、ぜひご一読ください。

>>「相続税を払わないとバレる?どうなる?~無視した場合のペナルティ~」

相続税を支払わなければいけない理由を考えると、不満や疑問はどうしても生まれます。

しかし現在の法律上、相続税から逃れることはできません。無視したり少なく申告すると罰則で余計にお金がかかってしまいます。

そこで「相続税対策によりできるだけ相続税を少なくする」と考え方を変えることが重要です。できるだけ早めに税理士に相談して相続税の申告・納付をし、罰則の対象とならないようにしましょう。

早めに税理士に相談すれば、余計な心配が無くなるだけでなくあ、相続税対策の助言により税金を安く抑えることもできますし、トラブルの回避にもなりますのでオススメします。

以上、少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。