バブル時代に買った土地と先祖代々の土地を同時に売却する仰天節税プラン

バブル時代に買った不動産を、価値が下がった今も持ち続けている方はいませんか?

この記事はそんな方に向けて書いています。

その不動産を売却すると多額の「売却損」が出ますが、その損失は給料などの他の所得から引いて税金を安くすることはできません。

売ってただ損をするだけです。(だから持ち続けざるを得ないんですよね。。)

ただし、不動産の「売却損」は不動産の「売却益」とであれば通算することができます。

ということは「売却益」を作ればいいのです。

売却益を作る??

と思われた方にその方法から説明していきましょう。
売却益は、自分が持っている不動産ではなくても作ることができるのです。

この記事を読めば「含み損を抱えた不動産を、どのようにして含み益を抱えた他の不動産と同じ時期に売却して節税するのか」が明確にわかるように紹介していきます。

税金の初心者の方にもわかりやすく記載しました。
ぜひご覧ください。

不動産の「含み損」は他の不動産の「含み益」と相殺

バブル時代に買った土地などの不動産は「買った値段」よりも「今売ることができる値段」が大きく下がっていることでしょう。

これを不動産に「含み損」があるといいます。
株と同じような考え方で問題ありません。

含み損がある不動産を実際に売却すると、ただ損(売却損)が確定するだけで税金は何もかわりません。

逆に「買った値段」よりも「今売ることができる値段」が上がっている場合は、不動産に「含み益」があるといいます。株でいうと、株価が上がっている状態ですね。

含み益がある不動産を実際に売却すると、その利益(売却益)に対して所得税と住民税が以下のようにかかってしまいます。

  1. 売却時点で5年超保有している不動産 ⇒ 所得税率15% , 住民税率5%
  2. 売却時点で5年以下しか保有していない不動産 ⇒ 所得税率30% , 住民税率9%

①を前提にすると、たとえば1億円の含み益がある土地を売ると所得税が1,500万円、住民税が500万円の合計2,000万円も税金がかかってしまうということです。(かなりとられますよね。。)

ただし、「含み損」がある不動産と「含み益」がある不動産を同じ年に売却すると「売却損」と「売却益」を相殺することが可能です。

1億円の含み益がある土地を売却すると2,000万円の税金がかかってしまいますが、仮に同額の1億円の含み損がある土地と同じ年に売却すると税金が1円もかからないということです。

つまり、バブル時代に買った含み損を抱えた不動産は、他の含み益のある不動産と同じ年に売却することで大きな節税効果が生み出されるのです。

では、含み益のある不動産なんてあるのでしょうか?

⇒「先祖から代々受け継いだ土地」があるでしょう。

先代から受け継いだ土地を「自分が持っている場合」と「親が持っている場合」に分けて以下で解説していきます。

先祖代々の土地を自分が持っている場合~同じ年に売却しよう~

先代から引き継いだ土地、いわゆる「先祖代々の土地」を有効に利用しない手はありません。

なぜなら、先祖代々の土地には大きな含み益があるからです。

繰り返しになりますが、含み益とは「買った値段」より「今売ることができる値段」が上がった額です。

先祖代々の土地の場合、通常「買った値段」が不明なため「買った値段 = 売った値段 × 5%」と仮定して売却益が計算されます。

たったの5%で計算されるため、土地を売却しても売却した価格の95%の売却益が出て、その利益に所得税率15% ・ 住民税率5%がかかることになります。

先祖代々の土地を売るには抵抗がある場合もありますが、バブル時代に買った含み損を抱えた土地と同じ年に売ることで、売却損と売却益を相殺し、税金を節税しながら2つの土地の売却代金を手に入れることができるのです。

先祖代々の土地を親が持っている場合~相続時精算課税を利用しよう~

では、先祖代々の土地を現時点では「親」が保有している場合はどうでしょうか。

通常は親が死亡した際に自分が土地を相続するのですが、もちろん親の相続はいつ発生するかわかりません。

親が死亡するまで売却時期を調整するべきなのでしょうか?

⇒いいえ。「相続時精算課税制度」を用いて贈与をすればいいのです。

相続時精算課税制度

通常の贈与税は、1人の人が1月1日~12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額に対して課税されます。
これを「暦年課税制度」といいます。

ただし、要件を満たした場合は「相続時精算課税制度」を選択することができます。

「相続時精算課税制度」とは、できるだけ早くからに財産を子どもや孫へ移行させるために作られた制度です。

この制度を選択すると、2,500万円までの生前贈与には贈与税がかからず、それ以上の贈与も税率は一律20%になりますが、その代わり相続が発生した際に、生前に贈与された財産と相続された財産の合計額に相続税が課されるという内容です。

適用要件(適用対象者)

・贈与者(贈与する人)は60歳以上の父母および祖父母
・受贈者(贈与を受ける人)は20歳以上の子および
・相続時精算課税の適用は贈与者ごとに選択が可能
(例えば父からの贈与は相続時精算課税で、母からの贈与は通常の暦年課税というのも可)

例を用いて相続時精算課税の時系列を確認してみましょう

  1. 父親から先祖代々の土地Aの贈与を受ける(時価1億円、含み益9,500万円と仮定)
  2. 贈与を受けた子どもは贈与税を支払う 贈与税額 = (1億円 - 2,500万円) × 20% =1,500万円
  3. 子どもはバブル時代に購入した土地B(含み損9,500万円と仮定)と土地Aを同じ年に売却する
  4. 土地Aの売却益9,500万円と土地Bの売却損9,500万円が相殺され、所得税・住民税は0
  5. 数年後父親が死亡し、相続が発生する
  6. 土地Aも父親の相続財産に加算して計算した結果、相続税は1,000万円だった。
  7. 子どもは1,500万円を既に払っているため500万円の還付をうける

いかがでしょうか。

この例では、本来なら土地Aに係る税金が(所得税15%と住民税5%の合計)売却益9,500万円 × 20% = 1,900万円かかるものを、バブル時代に買った土地Bの売却損と相殺すること全て節税できました。

わかりやすくするために土地Aの含み益と土地Bの含み損は同じ額にしましたが、売却益を売却損と相殺する分だけ所得税・住民税を減らすことができます。

一番のポイントは、子どもは土地Aを贈与された際に贈与税を1,500万円支払っている点です。
この1,500万円は父親の死亡に伴う相続税をあくまで前払している性格のもので、最終的に相続税がいくらかにより、還付を受けることもあれば追加で相続税を支払うこともあります。

また、2つの土地は同じ年に売る必要がありますが、売るタイミングはいつでも問題ありません。

実際にこの方法を行う方は、「相続時精算課税」だけは一度税理士の話を聞くことがオススメです。相続時精算課税の選択は、遺産の規模等によって大きく得をする場合もあれば結果として損をしてしまう場合もあります。

相続専門税理士に一度話を聞いてから、安心して節税に取り組むことをオススメします。

>>「相続税専門税理士の探し方5選」

最後に~今まで売れなかったのは売る理由が見つからなかったから~

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バブル時代に買った土地などの不動産を、売るに売れず持ち続けている方は多いです。
持っているだけで毎年固定資産税がかかりますし、できれば売って現金にしたいところですが、高く買ったものを安く売って損失が確定するのは嫌なものです。

一方、先祖代々の土地もまた別な理由で売るに売れない方が多いです。
もちろん固定資産税は負担ですが、使っていない土地でも「先祖代々」誰も売らずに受け継がれてきたのですから売りにくいのもわかります。

そのような場合は「節税するために売る」と考え方を変えてはいかがでしょうか?

先祖代々の土地など含み益がある不動産と、バブル時代に買った含み損がある不動産を同じ年に売ることで、節税しながら現金に変えることができるのです。

「節税して、さらに売却で得た資金を有効に活用する」という目的があれば、一歩足を踏み出せるのではないでしょうか。

理由もなくただ持っているだけのような不動産ならば、売却した方が経済的に利益がある場合が多いのです。

まとめ~バブル時代の土地と先祖代々の土地を同じ年に売る節税~

以上、「バブル時代の土地と先祖代々の土地を同じ年に売ることによる節税方法」について紹介させていただきました。

あらためてポイントをまとめると、

  • 不動産の含み損は、不動産の含み益とのみ相殺できる
  • バブル時代に買った不動産は含み損が多額
  • 先祖代々の土地は含み益が多額
  • 2つを同じ年に売ることで所得税と住民税を大きく節税できる
  • 先祖代々の土地を親が所有している場合は、相続時精算課税による贈与を使うべし
  • 実際に相続時精算課税を利用する際は、相続専門税理士に相談するのがオススメ

いかがでしたでしょうか。
読んでいただけると、「含み損を抱えた不動産を、含み益を抱えた他の不動産と同じ年に売却して節税する方法」がわかっていただけたかと思います。

バブル時代に購入した土地を所有し続けていたり、先祖代々の土地をどうするべきか悩んでいる方にとって、最初の一歩を踏み出すきっかけになればと思います。

以上、皆さまにとって少しでもお役に立てれば幸いです。