歯を白くする方法は大きく分けて「内側から白くするホワイトニング」と「表面の汚れを落とすクリーニング」の2種です。

どちらの場合もホワイトニングすれば真っ白になることに変わりはありませんが、原因を知らないまま安易にホワイトニングを選ぶと、無駄なお金を使ってしまうことになります。

余計なコストをかけずに歯を白くするためにも、まずはこちらで紹介する歯の黄ばみの原因を知っておきましょう。心当たりがある人は、まずは適切かつ安い解決策から試してみてください。

一般的な歯が黄色くなる原因

歯が黄色くなる原因を探るには、まず食生活と本人の年齢、そして虫歯の治療暦の有無からチェックしていきましょう。およその原因はこれで見当をつけることができます。

<食生活が原因の場合>

まず、食生活です。色の濃い食べ物や飲み物をよく口にする人は、歯の表面に食べ物や飲み物の色素が付着している可能性があります。いわゆる着色汚れです。

よく挙げられるのがコーヒーやワイン、紅茶ですが、他にも原因となる食べ物・飲み物はたくさん存在します。紅茶に限らずお茶は全般が原因となり得ますし、コーラやブドウジュースなど、清涼飲料水と呼ばれるものも当てはまります。

一見すると色が薄いかのように見える緑茶も、中に含まれているのは紅茶と同じポリフェノール。健康に不可欠とされる一方、歯にこびりついて茶渋となる原因の成分です。

そして食べ物も注意が必要です。カレーやケチャップといった色の濃い食べ物は着色汚れのリスクを背負っています。これらをしょっちゅう食べていたり、食後に歯を磨かないでいたりすると、歯は着色してしまいます。

他にもお菓子類に使われる合成着色料も注意。色が濃い食べ物や飲み物は、ほとんどが注意すべきものです。エネルギードリンクなど、合成着色料が入ったものを日常的に飲んでいる人は、着色汚れを疑ってみてください。

<年齢が原因の場合>

もともと日本人は歯の内部、象牙質と呼ばれる部分が欧米人に比べて黄色いと言われています。この象牙質の黄色、なんと年齢を重ねるほどに濃くなるのです。

もし成人以上の人で、これといって食生活に変化はないのに、歯が段々と黄色くなってきたように感じるのであれば、加齢による象牙質の色の変化が考えられます。

加えて、日本人は象牙質を覆っているエナメル質の層が薄いため、象牙質の色が透けて見えやすい特徴をもっています。そのため、どんなに歯を綺麗に磨いていても、加齢と日本人特有のエナメル質の薄さで、成人以降は多くの人が黄色い歯になるのです。

この時に注意したいのが、着色汚れと勘違いして、歯磨きを徹底してしまうこと。

歯磨き自体は悪くないのですが、たとえばタバコのヤニや紅茶などによる着色汚れをとる専用の歯磨き粉を使ってしまうと危険です。このような歯磨き粉は通常の歯磨き粉より研磨剤が多く含まれているため、歯の表面を削るリスクが高いです。

加齢による象牙質の色の変化が原因である場合、いくら研磨剤の多い歯磨き粉で時間をかけて磨いても、歯は白くなりません。むしろ、象牙質を覆うエナメル質が薄くなり、余計に象牙質の黄色が濃く見えるようになる可能性があります。

<虫歯が原因の場合>

三つ目が、虫歯が原因の場合です。虫歯になると、その部分が黒くなります。放置すればするほど虫歯が広がっていくため、黒い部分も大きくなっていきます。

この場合で注意したいのが、過去に虫歯治療を受けた部分の変色です。銀歯など詰め物の色が歯に移り、黒く変色する場合もあれば、詰め物と歯の間に新しい虫歯ができたことで変色しているケースもあります。

一度治療したからといって安心できません。とくに大人の場合は子供時代に受けた治療は、今とくらべて機材も詰め物の材質も異なります。詰め物を固定するためのセメントにすき間があいていたために、そこに虫歯ができる人も珍しくないのです。

昔治療した歯の周囲が変色している場合は、一度歯科医院でチェックしてもらってください。新しい虫歯ができているかもしれませんし、単純に詰め物の色が移っている場合も、詰め物を交換するなどの治療を相談できます。

そしてもうひとつ、虫歯治療などで歯の神経を抜いている場合も歯は黒く変色します。神経を抜く治療をした人で、その歯だけが変色し始めているのであれば、治療による当然の変化だと考えられます。

気になる人は、表面にかぶせ物をつけるなどの治療ができます。

歯が黄色くなる原因で特殊なケース

ここで挙げた歯が黄色くなる一般的な原因の他にも、歯の変色を起こしてしまうものがあります。次に紹介するような行動に覚えがある方は注意してください。

<口内殺菌にイソジンを使っている人>

イソジンなど、うがい薬の中には茶色いポピドンヨードと呼ばれる消毒成分が含まれています。これらは口内を殺菌してくれるため、風邪などの予防の他に口臭予防や口内炎の治療に便利です。一方で、やはり茶色い色が歯にこびりつきやすいリスクをもっています。

私も実体験があるのですが、イソジンをマウスウォッシュ代わりに使うと口内炎は早く治るし口臭予防になり、とても重宝しました。マウスウォッシュや液体歯磨きと違って刺激もないので、しっかりゆすげます。

ですが、やはり毎日使っているうちに歯が全体的にくすみを帯びてきました。歯と歯の間など薬剤が留まりやすいところはとくに濃く色がつきます。イソジンでうがいや口内洗浄を行っている人は、それが汚れの原因となっているのではないでしょうか。

ちなみに、私は最近この茶色い色を避けるためにポピドンヨード以外の薬剤によるうがい薬を使っています。(これです→『昭和製薬 フレッシュCPうがい薬』)合成着色料の青色1号が入っていますが、青色なので黄色くなるよりはマシかな、と。

今の所、歯が青くなるというトラブルもなく使えています。使い心地としてはイソジンには負けますが、歯が茶色くくすむリスクがないので十分満足です。

<虫歯予防にクロルヘキシジン入り歯磨き粉を使っている人>

歯磨き粉に限らず、歯磨きジェルや液体歯磨きを使っている人も当てはまります。このクロルヘキシジンは歯周病菌の殺菌効果が注目されており、歯周病で悩む人はこの成分入りの歯磨き粉を使っていれば良いと言う歯科医もいるほどです。

身近な商品で言えば、『コンクール』シリーズがクロルヘキシジン配合の商品です。このコンクールの歯磨きジェルは、確かに歯周病で悩んでいる人からの口コミでの評価が高いです。通販サイトでは口臭解消にも役立ったという声も見つけられました。

しかし、一方で気になるのがクロルヘキシジンが歯に着色汚れを引き起こしやすい成分であるということ。そのため、着色汚れが気になった人は研磨剤入りクリーナーで歯を磨く必要が出てきます。

使用している歯磨き粉や歯磨きジェル、マウスウォッシュの成分表をチェックしてみてください。クロルヘキシジンの文字が入っているのであれば、薬剤による着色を疑ってみても良いでしょう。

<抗生物質の使用が原因の場合>

抗生物質の中でも、多くの細菌に効果が見られるのがテトラサイクリンという抗生物質です。そのため以前はよく使われていたのですが、近年は一部の病気治療を除き、安易な使用を控える医師も多いです。

その理由は耐性をもつ菌ができやすい(抗生物質が効かなくなりやすい)こと、まれに吐き気などが起こること、そして骨や歯に色素沈着が起きやすいことです。

現在、既に大人になっている人の中には、幼い頃(まだテトラサイクリンが多くの医療現場で使用されていた頃)に色素沈着が起こっている人もいます。

もし根元だけやたら黄色かったり、歯に茶色や黄色の横線ができているのであれば、テトラサイクリンによる色素沈着も可能性として挙げられます。

ホワイトニングするべき人としなくて良い人の違い

ここでご紹介した原因の他にも、遺伝など先天的な理由があったり、単純に歯磨きを怠ったことによる歯石の付着なども、歯の色が黄色くなったり茶色くなったりする原因となります。

原因はさまざまですが、大まかに分けると

  • 着色による変色(歯自体が変色したわけではない)
  • 歯そのものの変色(表面の汚れだけが原因ではない)

の2種に分けられます。

このうち、歯科医院で受けられるホワイトニングが最適なのは、後者の『歯そのものの変色』です。着色汚れに効果がないわけではありませんが、汚れを落とせば良いだけのものに、高額なホワイトニングをわざわざ行うのは金銭的にもったいないです。

そのため、歯科医院で最低でも3万円以上かかるホワイトニングを受ける場合は、歯そのものの変色が黄ばみの原因である時にすると無駄になりません。

食事やイソジンなどによる着色汚れの方(歯自体は変色していない可能性)に心当たりがある人は、先に歯の表面の汚れを落とすクリーニングから試すことをおすすめします。

クリーニングは安く済まそうと思えば研磨剤の多い歯磨き粉を週に一回使ったり、汚れを分解する成分入り歯磨き粉で歯磨きするように習慣づけるだけです。安くて1,000円程度からはじめられます。

歯科医院で行う場合は、虫歯のチェックのついでに依頼するのがおすすめ。単純にクリーニングだけを依頼すると5,000円から1万円ほどかかります。自費診療扱いとなり、汚れの程度によっては2万円請求される歯科医院もあります。

ただし、歯周病対策など治療の一環としてクリーニングを受ける場合は、保険適用が可能となり、3,000円程度で済みます。実際、私も先日、虫歯だと思って歯科医院に行ってみてもらった際に相談してみると、「保険適用で2,000円くらい」と言われました。

クリーニングが必須と言える治療を行う人以外は、保険適用してくれるかどうかは歯医者さんの裁量によります。そのため、虫歯の有無をチェックしてもらうついでや歯周病予防の相談などをするついでにクリーニングの相談をしてみてください。

いきなりクリーニングをしてくださいと依頼するより、保険適用してもらいやすくなります。(あくまで私の経験による話なので、自費診療を優先したがる歯科医さんもいることを忘れないでください)

もしクリーニングで歯の色が明るくなり、満足のいくものとなれば、ホワイトニングをせずに済みます。仮に自費診療扱いとなっても、ホワイトニングよりは安く済むので、最初からホワイトニングを選ぶよりはクリーニングがおすすめです。

もちろん、歯そのものの変色の疑いが強い人は、クリーニングでは解決しない可能性が高いので、ホワイトニングを選ぶ方が効果を期待できます。

ホワイトニングの効果がない人

着色汚れでなく、歯そのものの変色が黄ばみの原因となっている人は、ホワイトニングがおすすめです。ただ、注意したいのが、全ての歯の変色にホワイトニングが効果的とは言えないことです。

たとえば、テトラサイクリン類の抗生物質による色素沈着が原因となっている人の場合。ホワイトニング自体は可能なのですが、テトラサイクリンによってできた歯のしま模様は濃く、残りやすいのが現状です。

ホワイトニングを繰り返すことである程度薄くすることは可能です。ただし、その分何度も施術を行うので、ホワイトニング代金が高くなりがちです。歯科医院によってはラミネートベニアを歯表面に貼ったり、歯専用のマニキュアを提案されることもあります。

また、神経を抜いた歯もホワイトニングは困難です。通常のホワイトニングでは効果が現れにくいため、より時間と手間のかかる方法となります。インターナルオフィスブリーチあるいはウォーキングブリーチです。

どちらも歯の内部に薬剤を直接注入し、内側から漂白していく方法です。インターナルオフィスブリーチは何度も繰り返し行う必要があるのに対し、ウォーキングブリーチは1週間ほどで済みますが、安全性が疑問視されています。

治療法はないわけではありません。しかし、どちらを選ぶにせよ、「価格や時間がかかる」「健康的な不安(薬剤の神経への浸透)」がついて回ることは念頭においておきましょう。

他にもブライトスマイルという治療法がありますが、こちらもインターナルオフィスブリーチとの併用が基本となるため、金銭的な負担が心配です。

そしてもちろん、虫歯が原因の人もホワイトニングはおすすめできません。効果以前に痛みなどのリスクも高いため、虫歯の治療を先に行うこととなります。

歯が黄色くなる原因と対処法まとめ

歯が黄色くなるには、さまざまな原因が考えられます。その原因によってはホワイトニングよりもクリーニングが効果的な場合もあり、思っているよりもずっと安い金額で解決できることがあります。

また、ホワイトニングでは効果を実感できないケースがあることも忘れずに。値段や手間を気にしなければ特殊なホワイトニングを繰り返し受けて解決できる可能性もありますが、100%とは言い切れないのが現実です。

まずは、自分の歯の黄ばみの原因が

  • 着色による変色(歯自体が変色したわけではない)
  • 歯そのものの変色(表面の汚れだけが原因ではない)

どちらに当てはまるものか、これまでの生活習慣などから考えてみましょう。そして自分の歯の状態にあった治療法や対処法を選んでください。

注意点として、歯科医院の中には「ホワイトニングなどしかしない審美歯科」「虫歯治療などを得意とする町の歯医者さん」「お金持ちしか相手にしない自費診療専門の歯科」など、いくつもの種類があります。

そのため、普段通っている歯科医院では特殊なホワイトニングが受けられなかったり、自費診療をすすめられたりすることも起こり得ます。

信頼できる歯科医院であれば直接聞くのも良いですし、まだ信頼できる歯科医院を見つけられていない人は、医院のサイトや口コミサイトなどもチェックしてみましょう。医院のサイトや口コミサイトには診療メニューが書かれています。



>>『口コミ歯科・歯医者』情報サイトへ

↑個人的におすすめの口コミサイトです。口コミ自体はまだ少ないのですが、面白いことに苦情コーナーがあり、「避けたい歯医者はどんなものか」がよく分かります。

また、口コミが0の地域でも、歯科医院の情報は結構充実しています。うちの近所のサイトも口コミもない歯医者さんもきちんと掲載されていました。

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