カジノの儲けは税金がかかります!

通称カジノ法案、正式には特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案と言います(IR推進法)があり、これは先の国会で通りました。許可を受けた民間業者が認められた地域で特定観光複合施設が運営できるようになる、ということです。

特定観光複合施設とは、大型ショッピングモール、ホテル、会議場、展示場、スタジアム、など観光客を呼び寄せる魅力的な施設を集めた複合施設をいいます。

例えば、シンガポールの大規模複合施設マリーナベイサウンズのような施設と思えばいいようです。

このIR推進法の中にカジノも入っています。

これから本格的な議論を経て、いよいよ日本でもカジノが解禁される可能性が出てきました。

既に全国色々な地域からの誘致合戦が始まっています。大阪で2025年万博を誘致して、ここに統合型リゾートを開業する案も浮上しています。

カジノができても日本人は入場できない?

ただ、その前に、カジノが解禁されても、日本人がこのカジノに入場できるかどうかが問題です。韓国では17ヵ所のカジノの内、1か所のみ韓国人の入場が可能です。(入場料700円)、他のカジノは、すべて韓国人は使用できません。シンガポールのマリーナベイサウンズにも大規模なカジノがあります。現地の人は入場可能ですが8,000円もの入場料が必要です。

アメリカのラスベガスは制限がありませんし、入場料も必要ありません。マカオも同様。モナコ、イギリスは入場料が必要です。

さて、日本はどの形になるのでしょうか。カジノができると治安が悪くなるとか、ギャンブル依存症が増えるとか、ギャンブルで破産する人が増えるなどの理由で設置を反対する意見も多いようですから、何らかの制限がかかることが考えられます。

カジノで得た儲けは確定申告が必要?詳しく見ていきましょう。

現在の日本の法律では、カジノで儲けたお金には税金がかかります。従って確定申告をしなくてはなりません。カジノが解禁されても、この法律に変更はないと思われますが現在のところ不明です。

日本の税制ではカジノで得た儲けは一時所得となり、所得税の課税対象となっています。

その一時所得と所得税の計算は簡単にできますが、ちょっと注意しなければならない部分があります。

カジノで儲けたお金は、税法上は一時所得という種類の所得になります。雑所得という所得もありますが、こちらは副業で得た収入、株式、FXなどの所得のことを言います。

一時所得は次の計算式で算出します。

一時所得=総収入―総支出―特別控除額(最高50万円)(所得税法第34条第22号)

総収入とは、カジノで儲けた金額のことです。

総支出とは、収入を得るために支出した金額、掛金のことです。

特別控除額とは、カジノの場合は1年間で50万円まで特別控除されます。

従って、カジノで儲けたお金が50万円未満のであれば課税されません。確定申告が不要です。

次に所得税の算出方法です。

所得税=一時所得×1/2 (所得税法第22条第2項第2号)

これで所得税を計算して確定申告します。

具体例で見てみましょう。

ある年の1月1日から12月31日までの1年間で、カジノで遊んだ実績です。

4月1日掛金10万円で20万円を獲得(利益10万円)
5月10日掛金20万円で4万円を獲得(損失16万円)
5月30日掛金50万円で200万円獲得(利益150万円)
8月10日掛金50万円で10万円を獲得(損失40万円)

上記の例で計算してみます。

一時所得=総収入―総支出=10万円+150万円=160万円 となります。

獲得した儲けの金額(20万円+4万円+200万円+10万円)-(掛金10万円+20万円+50万円+50万円)=234万円―130万円=104万円 とはなりません。

これが注意を要するポイントです。

カジノの一時所得の計算は、損失額を支出額として計算することができないのです。

従って一時所得は160万円であって、104万円ではありません。

この場合はたまたま利益が出ていますが、年間収支で大きな損失が発生していても、1回だけでも利益が出ておれば、それが50万円以上であれば課税されます。損失はいくら出ても税金の対象とはなりませんから要注意です。

今回の場合は一時所得が50万円を超えていますから、課税対象となります。

次は所得税の計算です。

所得税=一時所得×1/2=160万円×1/2=80万円

となりますが、一時所得は単独で税率計算するわけではなく、一時所得の1/2の額を給与所得のなどのその他の所得と合算して、さらにその額から所得控除を差し引いた残額を課税所得金額とし、その金額に対して税率が決まります。これを総合課税と言います。

従って人によって給与所得などは異なりますから、最終的な税額も異なります。

仮にAさんとして、Aさんの年間の給与所得が600万円とし、各種の控除が50万円あったとします。

課税所得金額=一時所得×1/2+給与所得―控除額=160万円×1/2+600万円―50万円=630万円

となります。

税率表で課税所得金額330万円~695万円以下は所得税率20%です。控除額は427,500円です。

従って、所得税=630万円×0.2-427,500円=832,500円

となり、最終的に納める所得税は832,500円となるわけです。

カジノ以外のギャンブルの儲けはどうなる

カジノ以外のギャンブルもすべて同じ方法で課税されます。計算方法も同じです。

公営ギャンブルと言われる、競輪、競馬、競艇、オートレースはもちろんのこと、パチンコ、パチスロや海外のカジノ、国内のオンラインカジノ、麻雀、ノミ行為など全て同じ方法で、同じ法律で儲けに対して税金がかかります。

オンラインカジノは合法なのか非合法なのかはっきりしないですが、儲けに対しては課税されることになっています。秘密のカジノや賭けマージャンなどは犯罪ですが、税法は関係なく課税します。

まとめ

カジノは世界中に存在します。栄華盛衰、華やかなカジノでも廃れていくカジノ、勢いのあるマコオのようなカジノがあります。新たに日本がこの産業に進出して本当に日本の国益になるのでしょうか。

長期にわたって経験している先輩カジノが世界中にあります。これらを十分に研究して、あまり期待できないようであれば、この計画は中止した方がよい。

日本の役人は一旦計画してしまうと、その計画の評価に関係なく強引でも推し進めていく傾向にありますから、みんなでよく見ていないといけません。後で巨大な粗大ゴミとなる可能性もあります。