税理士と言うと、税金の計算をするイメージを抱く方も多いですが、会社の設立においても税理士は重要な働きをします。

会社設立の際に、税理士はどのようなサポートをしながら、社長とともに重要事項の決定や手続きを進めていくのでしょうか。

会社設立の必要性の検討・重要事項の決定

まず、税理士は、会社を設立・運営するメリット・デメリットを説明した上で、本当に会社を設立すべきなのか、設立したいのかを確認します。単純に利益が出ていることによる節税目的では、事業が上手く行っている時はいいですが、悪い方向に傾くと、節税どころか、会社の維持費用で苦しい状況に追い込まれることもあります。

本当に会社組織にした方がよいのか、税金・会社組織の運営・資金面など様々な視点から、慎重に検討する必要があります。次に、会社を設立する方向に決めた場合、重要事項を税理士と一緒に検討し、社長が決定します。

様々な種類の会社組織がありますが、例えば、株式会社を設立する場合、特に重要なものが3つあります。

1つ目は、事業目的です。会社は、定款に書かれた事業目的以外の事業はできないため、将来的に行う可能性がある事業は全て書くことが重要です。

2つ目は、資本金の額です。資本金は最低でも半年間は会社を運営できる金額を集めておくのがよいでしょう。ただし、資本金が1,000万円を超えると、初年度から消費税が課税されたり、中小企業の優遇税制が適用できなかったりするので、特別な理由がない限りは、1,000万円を超えない範囲にした方がよいでしょう。また、設立時に融資を希望している場合は、資本金としてどれだけの金額を用意できているかが、銀行への信用度につながります。

3つ目は、事業年度の開始時期です。決算時期と売上や利益が大きくなる時期を重ねてしまうと、決算対策が取れず、納税資金の確保にも苦労する場合があります。適切な決算対策と納税資金の確保のためにも、売上や利益が大きくなりやすい時期は、事業年度の前半に置くことが重要です。

また、資本金が1,000万円未満で、一定の条件を満たすと、設立時から最大2事業年度は消費税が課税されません。設立が10月の場合は、決算月を3月にすると、2事業年度は18か月しかありませんが、決算月を9月にすると、24か月分の消費税の免税効果を得ることができます。他にもありますが、このように会社設立後も見据えて、重要事項を決定していきます。

実際の会社設立登記手続きの流れ

実際の会社設立登記などの手続きは、税理士の紹介又は、税理士と提携している司法書士が行います。

手続きの流れは以下の通りです。

①社長は、会社の印鑑を作成し、社長と役員の印鑑証明書を用意します

②司法書士が、社長から事業目的などの定款作成に必要なことを聞き取り、定款を作成するので、社長はその定款の内容を確認し、よければ、司法書士が定款認証の手続きを行います

③司法書士の指示のもと、社長個人の口座に資本金を振り込み、通帳のコピーを司法書士に渡します

④司法書士が各種申請書を作成し、会社設立登記を行います

会社設立後にも手続きや検討事項はある

会社設立後にも、大きく分けて3つの届出が必要です。

1つ目は、税務署と都道府県・市町村に提出する、法人設立届や税金に関する届出です。

2つ目は、労働基準監督署とハローワークに提出する、労働保険に関する届出です。

3つ目は、年金事務所に提出する、社会保険の届出です。税金に関する届出に関しては、税理士が社長に説明した上で、作成・届出します。

労働保険と社会保険に関わる届出に関しては、税理士の紹介又は、税理士と提携している社会保険労務士が代行又はサポートしてくれます。

また、税理士は、社長が設立時の融資を希望している場合は、必要書類・事業計画の作成サポートや金融機関への同行・調整を行ってくれたり、社会保険労務士は、助成金の申請サポートや雇用契約書作成の際の相談・サポートなどを行ってくれます。

会社を設立する際は、設立後のことも見据えて、税理士・司法書士・社会保険労務士などの専門家を活用し、あらゆる法律面で検討し、自身の業種・業態などに最適な組織・運営制度を作ることが重要です。

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