ある時突然新幹事が発表されるのは何故?そんな時の対処法は?

ある企業のIPOが正式に決まるとJPX(日本取引所グループ)からIPOする企業のIPOに関わる情報が記載された有価証券報告書が公表されます。

これは法律によって定められた正式な文書ですので、投資家は公表された有価証券報告書を元にしてIPOの投資戦略を立てます。

今回は、そんな重要書類である有価証券報告書の中の取り扱い幹事に関するお話です。

個人投資家がIPOに参加する上で、IPOの案件にどの証券会社が参加するのか?は非常に大きな問題です。

それは、IPOに参加する証券会社からしか、そのIPOに応募することはできないからです。

その為、IPOに参加する個人投資家の多くは、有価証券報告書の中の取り扱い幹事の項目をしっかりと確認して証券会社に資金を移動させます。

しかし、世の中複雑な物で、、、

実は有価証券報告書に記載されていない証券会社が幹事になっていることがあります。

『そんなバカな?!何故法的に定められた有価証券報告書に記載されていないことが起こるんだ?』

と思うかもしれませんが、これは事実です。

この記事では、有価証券報告書に記載されていない証券会社が幹事に入る理由と、そんな時の対処法について解説していきます。

是非、貴方のIPO投資に役立てて下さい。

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有価証券報告書に記載されていない証券会社が幹事になっていることはよくあることなのか?

有価証券報告書に記載されていない証券会社が、実は幹事に入っていて、ひっそりとIPOの募集をしていることは、私の経験上、年に5〜6回あります。

しかも、この回数に加えてゆうちょ銀行やJR九州のような大型上場時でも、幹事と公表されていない証券会社が幹事になっていることがあります。

過去の実績から見ても、このような公表されていない証券会社が幹事となっていることは割とよくあることだと言えます。

それでは、何故そのようなことが度々起こるのでしょうか?その理由を次項で解説します。

有価証券報告書に記載されていない証券会社が幹事に入っている理由とは?

私は証券会社に勤めている訳ではないので、正確なことは言えませんが、長年IPOに参加してきた経験から、その理由を推察しました。

私が思うに有価証券報告書に記載されていない証券会社が幹事に入る理由は主に3つです。

・後から取り扱いが決まったケース

何らかの理由によってIPOの取り扱い証券会社が後から追加されると、追加されたことは最初の有価証券報告書に記載されずに、後から追加次項として別の有価証券報告書に記載されます。

この場合でもJPX(日本取引所グループ)のHPから公表されるのですが、果たして、、、何人の人が追加資料の項目に目を通しているでしょうか?

まず間違いなく、最初の有価証券報告書を見ている人よりも見ている人の数は格段に少なくなります。

また、数あるIPOサイトでも、後から追加資料を参照して更新しないサイトも多くあります。

つまり『見ている人の数が減ることによって、情報が拡散されず結果IPOの幹事だったことに多くの人に気付かれなかった』ということになります。

・親会社やグループ会社からの委託

証券会社の中には、大きな証券会社のグループ会社や子会社である証券会社も多々あります。

具体的には

岡三証券と岡三オンライン証券

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とカブドットコム証券

などがそうです。

このような関係を持つ証券会社には、親会社やグループ会社内でIPOの取り扱いがあると、その一部が子会社やグループ会社に回ってくることがあります。

そして『回ってきて取り扱いを開始しても有価証券報告書などで大々的に公表ることはなく、証券会社のサイト内でひっそりと公表されるので、多くの人に認知されず知らない間に幹事になっていた』ということになります。

この場合、親会社やグループ内の大手証券会社でIPOが全て消化されると、子会社やグループ会社に回ってこないので、有望なIPOであればあるほど可能性は低くなります。

・他の証券会社から回ってきた場合

その他にも突然証券会社のサイト内でIPOが公表されることがあります。

これは、主幹事となっている証券会社や独自のルートで他の証券会社から仕入れたのか?その理由は定かではありませんが突然取り扱いが始まることがあります。

いずれ機会があれば、この理由を聞いてみたいです。

有価証券報告書に記載されていない証券会社からIPOに参加するメリット

当然、公表されている幹事の証券会社からIPOに参加するよりも、公表されていない幹事の証券会社からIPOに参加した方がライバルが少なくなるので当選確率は上がります。

その為、できることなら幹事として大々的に公表されていない平等抽選システムを採用している証券会社から応募するのが良いでしょう。

では、幹事として公表されていない証券会社から応募するにはどうしたら良いのでしょうか?

どうしたら大っぴらに公表されていない幹事の情報をキャッチできるのか?

この問題に対する確実な方法は1つしかありません。

それは『IPO申込期間中に各証券会社のサイトにログインしてIPOをしていないか確認する』という方法です。

これをやれば公表されていようがいよまいが関係無く、確実にIPO取り扱い証券会社を把握することができます。

ベストな投資戦略とベターな投資戦略

そもそも、前項で説明した幹事の確認方法を行うにはIPOの幹事となる可能性がある全ての証券会社に口座を開設して、それぞれのサイトにIPOの度に毎回ログインして情報を確認する必要があります。

しかも、情報をキャッチしたら速やかに資金を幹事証券会社に移動させIPOに応募する必要があります。

これは、文字で読むと簡単そうですが実践するのは大変です。

この方法はIPO当選確率の観点からはベスト方法ですが、多くの人には別の方法をオススメします。

それは、全ての証券会社に口座を開設せずに目を付けた幾つかの証券会社(平等抽選の証券会社を2〜3社開設するのが良いでしょう。)に口座を開設して、他の証券会社のIPOには無理に参加しないと割り切るのも1つの方法です。

最後に

IPOには、今回ご紹介した幹事のこと以外にも多くの不特定要素があります。

その為、常にベストな方法やらなければならない!と神経質にならずに、私はベストでは無くても自分のできる範囲で無理なく投資を進めていける!ベターな方法をオススメします。

このブログを読んでいる方ならご存知だと思いますが、多くの場合にIPOは中々当たらない長期戦となる投資です。

無理をして投資を断念してしまうよりも、継続できる範囲で進めていくことを大切にするのが良いでしょう。