ホクロ除去で使われる湿潤療法とは?傷跡を残さないための治癒方法

美容皮膚科や形成外科も担っている美容外科にて、ホクロ除去を行いました。その時に処方されたのが、防水加工の絆創膏です。

ホクロ除去の傷跡が残らないように治癒するには、この防水仕様の絆創膏による湿潤療法が必要でした。

こちらの記事では、湿潤療法とホクロ除去の関係と必要性についてまとめてみました。湿潤療法を他の怪我で利用する際の注意点もまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

湿潤療法とは?傷を治すメカニズム

湿潤療法とは、簡単に言うと「傷口を乾燥させないようにおおって自己治癒能力を最大限に活用した傷の治し方」です。

昔は患部を乾燥させてカサブタができるのを待ったものですが、近年は間逆の治療方法が確立されています。

方法はとても単純で、傷口を軽く水洗いしたあと、乾燥させないまま防水加工の絆創膏で患部をおおう、というものです。あとは絆創膏につけられた薬剤と体液が反応し、傷を治してくれます。

傷が治るメカニズムは、体の自己治癒能力の次のようなはたらきに関係しています。

  • 傷口に血小板が集まることで止血する
  • マクロファージなどが傷ついて死んだ細胞や細菌を食べて傷口付近を掃除する
  • 繊維芽細胞(傷を修復する細胞)が集まって傷口をくっつけていく
  • 表皮細胞によって傷口がふさがれていく

傷を治すには、複数の細胞のはたらきが必要です。細胞は乾燥したところでは死んでしまい、活動することができません。

つまり、傷口を乾燥させてカサブタができるのを待つ方法では、傷はかえって治りにくいのです。

湿潤療法は患部を防水の絆創膏などでおおって乾燥しないようにするため、傷口で細胞がスムーズにはたらけます。そのため、早く傷が治ったり傷跡が残りにくかったりなどのメリットが期待できます。

ホクロ除去のケアで湿潤療法が使われる理由

ホクロ除去でも、この湿潤療法を取り入れているクリニックがあります。

私がホクロ除去を受けたクリニックも採用しており、処方されたのは傷口に塗る薬ではなく、防水性のある絆創膏のみでした。

ホクロ除去でできた傷を治すために何故この湿潤療法が取り入れられるのかですが、それは傷が治りやすいことに加え、細菌が繁殖しにくい状態を作るからです。

患部をじゅくじゅくに湿った状態にするため、何となく細菌が繁殖してそうなイメージを持っていました。

しかし、実際は体からにじみ出る傷を治すための体液(浸出液という)が傷を治し、細菌から守ってくれるのでした。

乾燥させ、カサブタ状態にしておくほうが細菌が繁殖しやすく、膿も出るそうです。湿潤療法を取り入れている火傷の治療専門科がある病院のホームページでも、詳しく書かれていました。

人の体内には外から侵入してこようとする細菌を食べたり攻撃したりして、体を守る細胞がいくつも存在します。

それらの細胞がしっかりはたらける環境である湿潤状態を作り出すことで、ホクロ除去による傷跡も治りやすくなります。

傷跡が残る理由は、

  • 修復細胞がしっかりはたらけなかった環境で傷を放置されたか
  • 傷に色素や炎症が残るようなダメージが加えられていたか
  • 修復細胞が頑張りすぎて傷口に余計な凹凸ができてしまったか

などなど、あらゆる原因が考えられます。このうち細胞が頑張りすぎたための傷跡を防ぐのは体質の問題も絡んでくるため、難しいです。

私のようにケロイド体質の人は、油断すると傷跡がぷっくり膨らんだ状態で完治してしまいます。

しかし、傷を修復するための細胞がしっかりはたらける環境を作り、むやみやたらにダメージを与えないようにしていれば、多少は傷跡のリスクが軽減されます。

ホクロ除去によってできた傷跡は施術後へこむため、下手をすればそのままクレーター状態になって完治するか、膨らんでしまう可能性があります。

少しでもそのリスクを減らすには、湿潤療法もひとつの手段なのです。

湿潤療法の他、ホクロ除去後の傷跡や赤くなった部分のケア方法については、以下の別ページを参考にしてみてください。

→→『ホクロ除去後の傷跡や赤みを早く消すスキンケア方法』へ

湿潤療法を安全に行うための注意点

家庭でも湿潤療法を行う人が増えてきたそうですが、注意したいのが正しい活用を行うことです。

たとえば、湿潤療法は自己治癒能力を引き出すため、細胞を損傷させる可能性のある消毒液の使用はおすすめされていません。

だからといって、すべての傷に消毒なしで湿潤療法を用いれば良いものではありません。

湿潤療法でも、強力な細菌などを食い止めることは難しいです。安易に消毒せず湿潤療法を家庭で行ったために破傷風を引き起こす可能性もあります。

外で負った傷、古い釘や木片などが刺さった傷、刃物で切った傷、熱や腫れがある傷、水疱のできた火傷など、安易な湿潤療法は避けるべき傷があることも知っておきましょう。

湿潤療法を取り入れているクリニックでも、以下のように注意が促されています。

次のような場合は、直ちに家庭療法を中止し、病院を受診してください。

傷の周囲に不自然な発赤、腫れ、むくみなどが見られる場合。
痛みが改善しない場合。膿や血液、浸出液が出続ける場合。
発熱、悪寒がある場合。
出典:はやかわこどもクリニック

このような傷ができた場合は、自己流の湿潤療法をほどこさず、すぐに病院で診てもらうことをおすすめします。

さらに、家庭で簡単にできる湿潤療法としてガーゼやラップを傷にかぶせる方法がありますが、これも注意が必要です。

ガーゼ自体がダメージとなる上、体液を吸い取ってしまうため湿潤療法にはなりません。ラップなどの使用も、幹部の乾燥を防ぐ役割しかしないため、傷の治りが早くなる可能性は低くなります。

この湿潤療法を日本に広めた医師『夏井睦』先生は、湿潤療法にラップを使う方法があると紹介していますが、同時にその危険性も語っています!

もちろんラップでも治療できますが,ラップには欠点があります。汗疹を作りやすいことです。
出典:新しい創傷治療

この専門家の先生はラップでもできるといいつつ、専用の治療用具を使ったほうが、メリットが多いことも語っていました。

その理由は、専門汗疹を作らない(汗や血液は吸い取ってくれる)ような仕組みになっているからだそうです。

「ラップを巻けばOK!」の部分だけを読んで、自宅で真似するのは絶対に止めましょう!医療機関や薬剤師に相談して、専用のアイテムを使ってください。

おすすめは、市販でも売っている「傷口の表面に体液をにじませて留まらせる成分」が含まれた絆創膏です。

こういった商品です。病院で処方されるより割高となりますが、応急処置用としていくつか常備しておくと便利です。

ホクロ除去の傷跡で使う場合は、クリニックで医療用を処方してもらうのが一番安く済みます。傷跡が心配な方は、施術を受ける際に一度聞いてみてはいかがでしょうか。

ただし、湿潤療法を取り入れるかどうかは、担当医の考えなどもあります。処方されなかったからといって「この医者は駄目だ」と思わないように注意してください。

湿潤療法によるホクロ除去まとめ

ホクロ除去では、傷を自己治癒能力で治すよう促す湿潤療法を取り入れているクリニックもあります。火傷の治療などでも使われてきた方法のため、傷跡を残さないように治癒するには期待できそうです。

うっかり軽めに貼っておくと朝起きた時に絆創膏がはがれていることもあり、驚きますが、傷口を水で濡らして新しい絆創膏を貼ると問題なく体液が染み出してきました。

顔のホクロ除去はとくに傷跡が残らないようにしたいものです。担当医が湿潤療法を取り入れた場合は、とにかく傷口を乾燥させないよう、担当医の指示に従ってケアしてください。

※私もホクロ除去後のケアに湿潤療法が取り入れられています。体験談で傷の様子も公開しているので、ぜひ参考にしてみてください。

→→『ホクロ除去体験記④~レーザー施術をした日の夜と翌朝の傷の様子~』へ

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