DMATの個人装備について

DMAT。それは災害が発災した時に派遣される特別な訓練を受けた機動性に満ちた医療チームです。災害現場で活動するにはそのままいってもなにもできません。資機材の他に個人でも準備するものあるのです。

個人で必要なもの

まずユニホームですね。これは病院から支給されるものですから個人で準備する必要はありません。私が勤務する病院では全部で6着あります。隊員の体格に合わせた寸法で作製されますからオーダーメイドです。暗いところでも目立つように反射板が装着されたり所属や資格を表すプレートのようなものも装着します。

どんな災害現場で活動するかわかりませんので保温性に優れ耐熱や耐火性も備わっています。これはオフレコですが当院でDMATのユニホームの作製費用は100万だそうです。その他としてはつま先に鉄板が入っている編み上げブーツ、ケプラー製の手袋、ヘルメット、ヘッドライト、目を保護するゴーグルです。

現場活動で必要な個人装備

チーム間や司令本部と連絡を取ったりチーム内でコミュニケーションや連絡用にトランシーバーを持ちます。DMATの資格を取得する際にこのトランシーバーの取り扱いや話し方、性能などを学びます。もちろん実技テストもありました。災害現場ではこのトランシーバーが活動の鍵といっても過言ではありません。なぜなら綿密な相互連絡が被災者を救うばかりか自分を守ることになります。

すこしこのトランシーバーのことについてお話をさせていただきたいと思います。町のおもちゃ屋さんで小さい時に親に買ってもらったトランシーバーを使って遊んだ記憶があります。しかしDMATで使用するトランシーバーは過酷な天候や現場に対応するものでなければなりません。

例えば防水や耐衝撃、防塵などの機能がなければすぐに故障してしまいます。取り扱いも簡単でなければなりません。勤務している病院ではこのトランシーバーが全部で12台あります。出力も大きくデジタル業務無線という種類にものですが1台がやはり12万円かかっているそうです。申請し登録すれば個人で免許がなくても使用できるという種類のトランシーバーです。

病院から支給される情報収集のために使うタブレットも重要な装備です。各種の災害現場での情報収集や何かを検索したりする時の大切なアイテムになります。タブレットは否定派だった私は試しにタブレットを個人で購入いたしましたがこれほど便利なものはないと感じ平時でも愛用しています。

東日本大震災で携帯電話が使えなかった記憶がまだ新しくそんな時のために我が家では同じトランシーバーが2台、町の電気屋さんで売っている小出力のトランシーバーが2台、あと趣味と非常時のためにある合法CB無線機が2台あります。常に点検し時々通話テストを家族でします。

自分のための装備

これも隊員それぞれ違います。食料や水は持参しないと誰も与えてくれません。最低でも一週間分の簡易的な食料、飲料水、着替え、日常的に使う内服薬、携帯電話やその充電器、歯磨きセット寝袋などの寝具も携行品として必須です。このように一度災害が起き赴く我々DMATは体一つでいっても何もできません。このように色々な装備を携えていかなければ被災者を救うこともできませんし自分を守ることもできません。

平時からの訓練や勉強も必要なように装備の点検や準備も必要であり重要です。

当院のDMATは勤務する病院のロッカーに個人装備は保管しています。はたから見ればサクサクと活動しているように見えてもそのためにはたくさんの時間を費やした準備があることを忘れないでほしいと思います。そしてこれからDMATになりたいと希望する方々の参考になればと思います。

参考:災害時に大活躍するDMATの話【DMATになるためには】