PTS取引とは何?そのメリット・デメリットとは

株式市場以外で取引できる方法として時折話題になるPTS市場。投資初心者には内容がよくわからず、利用するのを躊躇する方もおられるでしょう。

そこで今回は、PTSとはどんな市場なのか、取引するにはどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。

PTSとは、Proprietary Trading Systemの略で、証券会社が証券取引所を通さず、自社のコンピュータシステム上で売買する私設取引所のことです。別名「Xマーケット」とも呼ばれています。

PTS取引がスタートしたのは1998年。まだ20年程度の歴史しかありません。

スタート当初は大和証券、カブドットコム証券、松井証券、マネックス証券、インスティネット証券、SBI証券の6社が扱っていましたが、思うように出来高が伸びず、撤退する会社が相次ぎました。

現在国内証券ではSBI証券のみ取引が可能になっています。

では、PTS取引にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

決算発表後すぐに売買できるスピードがメリット

最大のメリットは通常の取引に比べて取引時間の幅が大きいことです。売買可能時間は下記の通りです。

・通常の取引時間
午前9:00~11:30 午後12:30~15:00(ジャスダックは15:10まで)

・PTSの取引時間
デイタイム・セッション8:20~16:00 ナイト・セッション17:00~23:59

各企業の決算発表の多くは、TDnet(東証適時開示情報サービス)を通して後場取引終了後に発表されます。これは場中に発表して株価の変動が大きくなるのを避けるためです。

ここでもし、好材料が出れば一刻も早く買いたいという思いになるでしょう。

しかし、通常ならば翌日の寄り付きまで待たなければなりません。それがPTS取引を利用すればその日の内に買うことが可能になるのです。このスピード感は魅力です。

今の時代はスマートフォンを利用すれば外出先からでも取引が可能ですが、さすがに勤務時間中に株の売買を行なうのは気が引けるという方は、帰宅後にじっくり取引できるのは便利です。

もう一つのメリットは、手数料が市場取引よりも安いこと。

SBI証券のスタンダードプランの通常取引手数料が10万円以内で税込み150円に対し、PTS取引の手数料は142円となっています。

もっとも、PTS取引で購入した株もNISA預かりにすることができますので、そうなれば手数料も無料になります。
また、PTS取引では呼び値が10銭単位で取引できるのもメリットです。これはケースにもよるのですが、例えば100円で指値買いした株が99円80銭で約定されることもあります。約定結果を見てはじめてわかるのですが、少し得した気分になります。

デメリットは出来高の少なさ、取引が成立しないことも

取引手順は簡単で、通常の現物株取引画面の「新規注文/PTS」のボタンをクリックし、あとは通常の取引画面と同じように入力して発注するだけです。

ただし、デメリットも多くあります。値段は指値のみ、期間も当日中のみとなります。同時にデイタイム・セッションからナイト・セッションへ、 ナイト・セッションからデイタイム・セッションへ注文を繰り越すことはできません。

さらに大きいデメリットは出来高の少なさです。小型株であれば売り物が無く、取引が成立しないこともしばしばあります。つまり、至急現金化したい時には不向きな市場といえます。

また、前述したように2017年9月現在でPTS取引を扱っているのがSBI証券 のみのため、利用する場合はわざわざ同社に証券口座を開設しなければならない点も不便です。

なお、PTS取引の場合、信用取引は利用できないので、多くの株数を取引するのは事実上難しいシステムといわざるをえません。

結局PTS取引って必要なの?

以上おおまかにPTS取引についてご紹介しましたが、投資家にとって本当に必要な制度なのでしょうか。

PTS取引の出来高が少ない要因の一つになっている信用取引不可の問題について、金融庁は解禁の方向で検討しているとされ、取引可能となれば利用者は大幅に増えることが予想されます。

現状では制約も多く、あえて口座を作るほどのメリットはありませんが、SBI証券 に口座を持っている方には便利なサービスですので、投資の幅を広げる意味で一度利用してみるのも良いのではないでしょうか。

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