高利回りで株主優待まである優先出資証券とは?メリット・デメリットについて

東京証券取引所には、さまざまな金融商品が上場されていますが、意外と知られていないものの一つに「優先出資証券」があります。

破たんリスクの無い公的機関が上場し、株価(優先出資価格)も落ち着いて安定運用に適しています。今回は信金中央金庫を例にとり、優先出資証券の魅力をお伝えします。

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「優先出資証券」とはどんな商品か

「優先出資証券」とは、「協同組織金融機関の優先出資に関する法律」に基づいて発行される、金融商品取引法で認められた有価証券です。

歴史はまだ浅く、2000年12月22日に信金中央金庫(Shinkin Central Bank、以下SCB)が東京証券取引所に上場したのがスタートです。

現在東京証券取引所に上場されているのは、日本銀行とSCBの2銘柄のみ。

日銀は今さら説明するまでもありませんが、SCBは全国の信用金庫を統括する中央銀行のような存在です。

2016年3月末現在で信用金庫は、全国に265金庫が営業していますが、その信用金庫を束ねているのがSCBで、総預金量は134兆円に達します。

SCBの資料によると、健全性は極めて高く、連結自己資本比率は、41.1%で都市銀行(16.42%)、地方銀行(12.16%)を大きく上回っています。また、心配される不良債権比率もわずか0.54%で、都市銀行(1.16%)、地方銀行(2.21%)と比べても安全性が際立っています。

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8421 信金中央金庫チャート(出典:SBI証券)

「優先出資証券」と株式の違いは?

さて、実際の取引方法ですが、株式の注文方法とまったく同じなので、投資初心者でも簡単に発注できます。では、どのような点が株式と違うのかを下表に記しておきます。

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優先出資者総会においての議決権がないのは、伊藤園の優先株と同じ形です。その代り配当金は優先的に受け取ることができます。

信金中央金庫の優待品はどんな物がもらえるの?

1口年間6,500円の配当金とともに、楽しみなのが株主優待(正式には優先出資者優待)があること。1口ではオリジナルグッズ(年ごとに内容変更)だけですが、3口以上ならグルメカタログが付くので、総合利回りをさらに高めてくれます。

●信金中央金庫の株主優待(優先出資者優待)
1口以上…優先出資者限定オリジナルグッズ(現在は、湯呑み)
3口以上…3,000円相当のグルメカタログの中から1品選択
10口以上…6,000円相当のグルメカタログの中から1品選択

●3口出資の場合のパフォーマンス
出資金 229,400円×3口=688,200円(2016年10月26日終値で換算)
配当金 6,500円×3口=19,500円
単純利回り 2.83%
グルメカタログ 3,000円相当
合計収入 22,500円
総合利回り 3.27%

優先出資価格229,400円というと高いように見えますが、株式(通常100株単位)に換算すると、株価2,294円で65円配当ということですので、かなり割安な水準です。

優先出資証券のデメリットは?

良いことずくめの商品のようですが、いくつかのデメリットがあります。まず、配当金が安定配当方針であること。公的機関の証券という性格上仕方ないのですが、普通株式のように業績が上がれば増配されるという期待は持てません。

あくまでも安定した配当金を受け取るという目的に割り切って投資する必要があります。したがって安値圏にある時に購入することがポイントです。

もう一つは出来高が少ないため、指値では取引が成立するのに時間がかかる場合があること。したがって大量の売買には向いていません。

超低金利時代には一考の価値あり

デメリットがあるとはいえ、やはり超低金利時代には、ポートフォリオの一角に入れておきたい商品ではあります。何よりも破たんリスクがなく、高配当に加えて優待制度まである商品は貴重です。

なお、NISA(小額投資非課税制度)の対象になっていますので、配当金を非課税で受け取ることができるのも魅力です。超低金利の今、元本保証の債券では面白くないという方には、おすすめの商品といえます。

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