突然、目の前で人が倒れた時にどうすればいいか【救護体験の実務】

病院で働いていると患者さんはいろいろな手段で病院を訪れますね。自家用車で家族の運転できたりタクシーや施設の車、救急車などでしょうか。でも病院の外で患者さんがどのように発生しているのかそのプロセスは実際にはわからないものです。
今回はその実際の場面に偶然居合わせた私の生の救護体験です。

それは突然に

その日は夜勤前で昼ごはんを食べに近所をふらついていた時です。何を食べようか散々迷ったあげく面倒になってきたのであるファーストフードのお店に寄りました。注文して店内でお昼を食べながら携帯電話をいじくりながらどのくらい時間が経過したかわかりませんがそのお店の若い女性の店員さんの「きゃー!」という大きな声でびっくりして振り返ったと同時にドスンという鈍い音が聞こえました。

店内は一瞬騒然となり、時間が止まった感じがしてすごくただならない緊迫感が漂いました。すぐその場に近づくと若い男性が店内のコンクリートの床の上に倒れていました。

ただ倒れているだけではなく全身の痙攣を起こしていました。床に倒れた時に頭を打撲していて頭部を触った時にたんこぶが出来ていました。口もぶつけたみたいで口から出血も起こしていました。このお店のすぐ隣が交番なので何を考えていたかわかりませんがおまわりさんを呼んできてしまったのです。(多分すごく慌てていたのかもしれませんね)

お店の電話で店員さんが119番通報して救急車を呼びました。

学んできた研鑽が自分を支えてくれた

その間も床に倒れていた若い男性は痙攣をしていました。そんな時とっさに体を横に向け、嘔吐による窒息を心配した私は首だけではなく体ごと横に向けました。

意識は戻らずいびきをかきながら呼吸を始め体の酸素が少なくなったせいか顔色がみるみるうちに悪くなり自分の中でこれはまずいと焦りが大きくなってきました。

この後は修正下顎挙上という外傷で気道確保する時の方法で気道確保すると弱々しくも呼吸状態が改善され酸素化ができ顔色も良くなってきました。痙攣は止まってきましたが意識の状態が今少し悪く専門用語で言えば不穏という状態でした。頭もかなり強く打撲していたので救急隊が到着するまではできるだけ安静を保ちたかったので少し力ずくでそばにいたおまわりさんにも協力をしてもらって体を抑えました。

体を触った時に冷や汗をかなりかいていたので初夏のこの時期でも保温をしたいと思い店員さんになにかかけるもの(毛布など)持ってくるように依頼しました。保温し不穏がおさまってきて会話が少しできるようになりましたが、両手のしびれを訴えるようになりました。

過呼吸だったのでそのせいで体の酸素化が過剰になってきてしまいそのせいの可能性が高いと思いましたが、頭をかなり強く打撲したのでその時に頭の中に何か起こっているのかもしれません。

頚椎損傷での神経症状なのかは病院で医師の診察を受けるまではわからないので数々の外傷コース(JPTEC,JNTEC,ITLS)などのコースで嫌というほど学んできた脊椎保護の処置として簡易的ですが用手的に頭部保持をしました。

この流れ的に文章にすると長いようですが2分くらいしか経過していません。頭部保持をしながら意識の観察、見える範囲で生命を脅かす活動性の出血や骨の変形はないかなどです。8分くらい経過して救急隊が到着して頭部保持をしながら引き継ぎをしてストレッチャーにのせるまで手伝いました。

車内収容されほっとし、間もなく受け入れ先が決まりサイレンを鳴らしながら病院に救急車は向かって行きました。

自己研鑽の大切さを知ってほしい

病院では医師もいて同僚である看護師もいるのでマンパワーがあります。でもこんな時は自分しか医療関係者がいない場合はやはり普段からの研鑽がものを言います。それがあったからこそ冷静に自信を持って取り掛かることができました。
何気ない小さなことでも臨床に役立つ時があります。看護学生のみなさんも新人看護師さんも色々な方法で自己研鑽を積んでいってほしいと思います。

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