看護師の変わった研修体験【救急車の同乗研修、心肺蘇生やAEDの講習会】

看護師になると仕事もそうですが、それに関連することも勉強をしたりしなければなりません。勉強の方法も様々ですが自己学習、院内や院外の研修でも学ぶことが出来ます。たいていはパソコンのパワーポイントなどを使って資料を見ながら講義を受けるという形態が多いのではないでしょうか?

今回は少し変わった看護師の研修体験についてお話しさせていただきます。

救急車の同乗研修

私はある県の総合病院に勤務していた時がありました。配属部署は救急外来でした。そこで初めて体験型の研修を受けました。救急車の同乗研修です。救急外来とは切っても切れないのが救急車です。看護師の仕事をしていて救急車を知らない人はいないと思いますが、意外にその実態や活動内容は知らない人が多いです。

では少しですが、救急車の同乗研修のお話をさせて頂きます。

朝の八時に研修を受ける消防署に赴きます。受付を済ませて更衣室へ。ユニホームを借りて着替えていると今日の救急隊の隊長さんがきてくれました。あいさつもしに八時半になり全体朝礼を車庫の前で行いました。本日の勤務する消防士さんたちの前で紹介され救急車まで行き資器材や現場でのルールの説明を受けました。

しばらくすると出場指令がでました。消防署内に響き渡る音でした。

「救急出場、救急出場、○○市○○丁○番地○○方、四十八歳女性腹痛で動けないもの○○救急隊出場指令、以上○○消防。」

というような指令が発令します。

機関員(救急車の運転手、救急車でなくても消防車両を運転操作する人を機関員と言います。)は出場する場所を地図で確認します。エンジンをかけ、乗車しヘルメットをかぶりシートに座りベルトを締めてサイレンや赤灯をつけ発進です。

管内だったのですぐに到着しました。玄関には旦那さんの誘導がありわかりやすかったです。患者さんは寝室のベッドで横になっていました。話を聞いてバイタルサインの測定(体温、血圧、脈拍など。)痛みの場所や程度、既往歴の聴取、かかりつけ医入れば確認します。かろうじて介助での歩行が出来たので救急車の中まで歩きました。車内のストレッチャーで横になり病院選定に入ります。

ここが難しい所で妊娠可能な女性の腹痛なら婦人科疾患も疑わなければなりません。消化器系の病気なら内科や消化器内科の病院だけで構いません。

しかし、救急車の中で出来ることは限られています。幸いにして両方の科がある病院に連絡しすぐに受け入れ先の病院に向かいました。夜間は小児科、精神科、歯科、眼科、耳鼻科、産婦人科、婦人科などの診療科目を持つ病院は皆無に等しくなります。受け入れ先が決まらないと救急車は動くことが出来ません。このようなことがないように今は全力で医療機関や国、自治体で改善しようとしています。

AEDの取り扱い講習会

ある公民館で心肺蘇生やAED(心臓に電気ショックを与えて心臓の動きを整えようとする機械)の取り扱いの講習会を担当しました。いつでも出場が出来るようにトランシーバーを持ちながらの講習会のお手伝いです。この日は他の救急隊のお手伝いという形でした。事前に準備した心肺蘇生用の人形があり心臓マッサージの練習です。シルバー人材の派遣会社で働く団塊の世代を少し通り過ぎた方たちが講習を受けていました。

我々はところどころ見て回り質問があったら受けたりもう少し改善をしたほうが良いと思ったらアドバイスをします。皆さん誰も真剣で汗を流して質問も次々と飛んできました。このような救急救命処置の啓蒙も実は消防の仕事の一つです。

簡単ですが普段接している救急隊の仕事にほんの少しだけ触れることが出来ました。その現場で命をつなぎ留め、大切な生命を病院まで引き継ぐという大変な仕事だと思いました。看護師としてどんな命でも大切なんだと改めて認識できた研修でした。