救急搬送の仕組みについて【119番を使うとき】

病院で救急部門の仕事をしていると救急車や救急隊とのかかわりがありますね。仕事でなくても道を歩いていたら救急車のサイレンの音が聞こえたりすれ違ったりします。救急搬送は年々多くなっています。

病院の救急部門に勤務している人ならわかっていると思いますが、以外と知らない救急搬送の仕組みをお伝えしたいと思います。

緊急だと感じたら迷わず119番

家族が急に具合が悪くなった、道端で人が倒れている、交通事故で怪我をして動けないなど急な病気や怪我などに見舞われたら救急車を呼ぶと思います。電話番号は119番です。慌てていたりパニックになったりしたら110番をしてしまったり、電話番号を思い出せなかったりします。

私は交通事故を目の当たりにして救急車を呼ぼうと思ったらなかなか通じないのでおかしいなと思ったら119番ではなく911番にかけていました。911番はアメリカで救急車を呼ぶときの番号です。ちなみに警察は110番ですがアメリカでは011番です。

参考:必須です!救命処置【目の前に人が倒れていたらどうすればいいのか】

さて、119番にかけると「火事ですか?救急ですか?」と聞かれます。

聞かれたら救急の場合は「救急です」と答えます。

固定電話や公衆電話から119番を要請した場合、電話をどこからかけているか特定できます。携帯電話でも場所を特定できますが電波の関係で県と県が隣接している場合は隣の県の消防司令本部に電話がかかってしまいます。

PA連携とは?

通報の内容によっては救急隊だけではなくてポンプ隊と呼ばれる隊が一緒に出場します。救急隊は常時3人体制ですが意識がない、大怪我をしているかもしれない、などマンパワーが必要そうな救急要請ならそのポンプ隊も一緒に活動します。ポンプ隊は火災現場で火消しを主な任務としています。

このポンプ隊も3人体制です。救急隊と合わせると6人体制になります。また救急要請があっても救急車がすぐ向かえない場合はこのポンプ隊が傷病者のもとにかけつけます。

私の知っている事案ではエレベーターがない三階たてのマンションで腰痛があり動けないという要請がありました。救急隊がすぐにかけつけましたが体重が九十キロ位ある男性を三階から救急車まで運ぶのに救急隊だけでは困難でした。そこでポンプ隊に応援要請してこの男性を一階にある救急車まで運んだという話がありました。これがPA連携と言います。PはポンプのPAはアンビュランス(救急)の頭文字をとってその名称がつけられました。

救急隊員はどんな人か?

平成3年に救急救命士制度ができました。その以前は救急隊員には一切医療行為ができませんでした。救急車の中で血圧測定さえできなかったのです。救急救命士ができる医療行為とは心肺停止した人に高度な気道確保したり点滴をしたり強心剤などの注射をすることができます。しかし無線や電話などで司令本部に勤務している医師に状況を伝えて指示を仰いでからでないとできません。AEDで電気ショックをかけることもできます。酸素投与も可能です。

この救急救命士の他に救急技術員という資格がないと救急の仕事ができません。救急救命士は国家資格ですがこの救急技術員は消防の中でできた資格なので公の資格ではありませんが解剖生理や疾病の事は学んでいます。

先ほどのポンプ隊員はこの救急技術員の資格を持った人が行っているんです。救急車や消防車両を運転する人を機関員と言います。運転免許はもちろん消防組織で一定の技術や知識を持っていると認められないと救急車を始めとする消防車両は運転できません。

病院選定も大切な仕事

傷病者に合わせた適切な医療機関の選定も救急隊の重要な使命です。例えば頭部外傷なのに内科だけの病院に連絡をしても断られます。若い女性の腹痛は婦人科系の疾患の可能性があるので内科と婦人科両方に対応できる病院を選定して搬送するという起点を働かさなければいけません。

このようにして救急隊の活動というものが日夜行われています。