新型コロナウイルス感染拡大により、国内経済は未曽有の停滞、減少を余儀なくされています。

特に中小企業、小企業、個人事業者などへの影響が著しく、売上高などが大きく減退しています。

政府はこれら中小企業、小企業、個人事業者を救済するため、持続化給付金制度として今年度補正予算で23176億円を計上し、2020430日国会で承認されました。

翌日から給付金給付の手続を開始5月中旬ごろから現金給付を始める予定です。

 持続化給付金とは

新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して事業継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金を支給します。

農業、漁業、製造業、飲食業、小売業、作家、俳優など幅広い業種で事業収入(売上)を得ている法人、個人の方が対象です。

法人は200万円、個人は100万円を上限に現金が支給される。申請すれば2週間程度で給付されるようです。

出典 経済産業省 https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html

持続化給付金の対象者

新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が同月比で50%以上減少している事業者が対象。

資本金10億円以上の大企業を除き、中、中小、小規模事業者、フリーランスを含む事業者を対象とします。2019年以前に開業して事業収入があり今後の事業を継続する意思がある事業者。

常時雇用の従業員2000人以下の事業者。また、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など会社以外の法人についても幅広く対象とします。

給付対象者は次の方も対象です。以下の方は別個の特例により手続することになります。給付金額の計算方法及びテンプ書類がそれぞれ異なりますから注意が必要です。

  • 確定申告はしているが、まだ開業届を税務署に出していない方。
  • 発注先に契約書を結んでもらえず口約束になっているかた
  • 会社員の副業で事業収入と給与所得の両方がある場合は、事業収入のみが50%減っている方。
  • 2019年に新規創業した人(創業特例)
  • 売上が季節や時期に偏っている方(季節性収入特例)
  • 年度途中で法人成りした方(法人成り特例)
  • 事業承継や合併した法人(合併特例)
  • 2019年度で罹災の影響を受けた方。(罹災特例)
  • 売上が小さくて確定申告をしない方(証拠書類などに関する特例)
  • 性風俗産業の運営事業者、政治団体、宗教上の組織や団体などは給付対象外ですが、オーナーが対象外であって、風俗嬢やそこで働く女性たちなど業務委託契約で働く個人は対象となります。
  • 連結決算を行っている法人

 給付額(支給額)及び給付金の要件

法人の場合

給付額=前年の総売上高(事業収入)-前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月(金額は10万円単位で10万円未満の端数は切り捨て)

算出例

2019年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
50 40 50 40 50 30 40 40 50 40 30 40
2020年 4月 5月 6月 7月
20

直前の事業年度(2019年度)の年間総売上高(総収入):500万円

直前の事業年度(201年度)の4月の月間売上高:50万円

20204月の月間売上高:20万円

直前の事業年度(2019年度)の4月分の月間売上高が50万円、20204月の月間売上高が20万円とある。前年同月比で50%以上減少しているので給付対象となる。計算式に入れると

260万円=500万円―20万円×12

260万円>200万円

よって給付額は200万円となります。

 個人事業者の場合

上限100万円

給付額=2019年の年間売上高(事業収入)-前年同月比▲50%月の売上高×12ヶ月(金額は10万円単位で10万円未満の端数は切り捨て)

算出例―青色申告の場合

2019年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
30 30 20 30 35 30 30 25 30 20 30 30
2020年 1月 2月 3月 4月
30 20 20 14

2019年の年間売上高(事業収入):340万円

20194月の月間売上高:30万円

20204月の月間売上高:14万円

20194月分の月間売上高(事業収入)が30万円、20204月の月間売上高(事業収入)が14万円であり、前年同月比で50%以上減少しているため計算式に入れると

172万円=340万円―14万円×12ヶ月

172万円>100万円

よって給付額は100万円となります。

算出例―白色申告の場合

2019年 360万円
2020年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
40 30 20 10

2019年の年間売上高:360万円

2019年の月平均の売上高:360/1230万円

20204月の月間売上高:10万円

2019年の4月分の月間売上高(事業収入)が30万円、20204月の月間売上高が10万円であり、前年同月比で50%以上減少しているため計算式に入れると

240万円=360万円―10万円×12ヶ月

240万円>100万円(上限)

よって給付額は100万円となります。

 申請期間

給付金の申請期間は20205月から2021115日までです。

電子申請の送信完了の〆切りは202111524時までです。51日より申請手続きが開始されましたが、相当の混雑が予想されます。資金繰りに少しでも余裕のある方は数か月ほど経ってからの申請をおすすめします。

申請方法

申請は電子申請で経済産業省の専用のホームページから申請することが基本です。必要に応じて感染症対策を講じた上で完全予約制の申請支援(必要情報の入力等)を行う窓口を順次設置する。

持続化給付金の申請方法

  • 持続化給付金のホームページへアクセス
  • 申請ボタンを押してメールアドレスなどを入力(仮登録)
  • 本登録、入力したアドレスにメールが届いているか確認
  • ID、パスワードを入力するとマイページが作成される
    • 基本情報(法人、個人の基本事項と連絡先)、売上高(入力すると申請金額を自動計算、口座情報(通帳の写しをアップロード)などを入力
  • 必要書類を添付
    • 2019年の確定申告書類の控え、売り上げ減少となった月の売上台帳の写し、身分証明書の写し(個人事業者の場合)
  • 完了、申請

持続化給付金事務局で申請内容を確認、不備があればメールで連絡あり。

通常2週間程度で給付通知書が発送され、登録の口座に入金となります。

持続化給付金事務局URLhttps://www.jizokuka-kyufu.jp/       

 法人の場合の申請書類

  • 確定申告書(確定申告書別表一(1枚)、法人事業概況説明書(2枚)確定申告書別表一の控えは収受日付印が押されていること。
  • 2020年度分の対象とする月(対象月)の売上台帳など
  • 通帳の写し(銀行名、支店番号、支店名、口座種別、口座番号、口座名義が確認できるもの)

2020年度分の対象となる月の売上台帳等

対象月の事業収入(売上高)がわかる売上台帳を提出してください。フォーマットの指定はありませんので、経理ソフト等から抽出したデータ、エクセルデータ、手書きの売上台帳などでも構いません。

書類の名称が売上台帳でなくても構いません。但し、提出するデータが対象月の売上高であることが確認できる資料を提出してください。(重要―2020年○○月と明確に記載されていること)

例、経理ソフトから抽出した売上データ、エクセルで作成した売上データ、手書きの売上帳のコピー。スキャンした画像だけでなくデジカメやスマートフォンなどで撮影した写真(PDF,JPG,PNG)でも許可される。

 個人事業主の申請書類

  • 確定申告書類

〇青色申告の場合:確定申告書第一表(1枚)、所得税青色申告決算書(2枚)、少なくとも確定申告書第一表の控えには収受日付印が押されていること。

〇白色申告の場合:確定申告書第一表(1枚)に収受日付印が押されていること

  • 2020年分の対象となる(対象月)の売上台帳
  • 通帳の写し(銀行名、支店番号、支店名、口座種別、口座番号、口座名義が確認できるもの)
  • 本人確認書の写し(本人確認書類―運転免許証の裏表、個人番号カードの表、写真付き住民基本台帳カードの表面、在留カード、特別永住証明書、外国人登録証明書、のいずれかの申請を行う月において有効なものに限る)。これらを保有していない場合は住民票の写しとパスポート、住民票の写しと各種健康保健証(両面)
  • 収受日付印について

確定申告書第一表の控えに収受日付印が押されていなければなりません。押されていないと申請できません。収受日付印とは確定申告書類を提出した時に税務署が押すハンコのことです。

e-tax申請の場合は令和01年度分申請控え、送信票が使用できます。確定申告を送信した時に日付や時間などが記載されており、収受日付印付申告書と同じ効力を持ちます。

収受日付や申請書、送信票がない場合は税務署の開示請求を行うことになります。税務署の窓口又は郵便で確定申告の開示請求を行います。

必要書類として保有個人情報開示請求書(国税庁のホームページからダウンロード)、身分証明書、住民票、開示請求料300円などを揃えて提出しますと23週間でもらえます。(但し5月はかなり混雑するかもしれません)

出典URL: https://netshop.impress.co.jp/node/7594      

特例について

給付金を受け取れる方は、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が前年同月比50%以上減少している法人や個人事業者ですが、創業が2019年度中であったり、月別の収入変動が大きい事業者など基本的な給付金算定式には適合できない場合があります。そのような方に対しまして特例の適用を選択できるようになっています。

〇創業特例

20191月~12月までの間に法人を設立した場合、2019年の月平均の売上高に比べて、対象月で50%減少している時は特例の選択ができます。

給付額(上限200万円)=2019年の年間売上高÷2019年の設立後月数×12ヶ月―前年同月比▲50%月の売上高×12ヶ月

201910月開業、5月を対象月とする場合

2019年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
50 50 80 40 40 35
2020年 4月 5月 6月 7月
40 20

2019年の売上高:180万円

月平均の売上高:60万円

2019年の開業月数:3ヶ月

2020年の対象月の売上;20万円

式に参入すると

180÷3×1220×12480

480万円>200万円

よって給付額は200万円です。

〇季節性収入特例

突き当りの収入変動が大きい事業者

季節性要因で毎年5月頃の売上が大きい場合、決算月3月で連続する3ヶ月が事業年度をまたがないパターン

2019年 4 5 6 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
70 120 80 10 10 20 20 20 30 30 20 20
2020年 4 5 6 7月 8月 9月 10月 11月 12月
40 20 20 10 10 20 20 20 30

2019年度年間売上高:450万円

基準期間売上高:270万円

2020年対象期間売上高80万円

式に算入すると

270万円―80万円=190万円

190万円<200万円

よって給付額は190万円となる。

他にも特例は

〇新規開業特例(個人事業者)

〇法人成り特例

〇合併特例

〇罹災特例

〇証拠書類に関する特例

などがありますが、さらにこれらの特例に適合しない事業形態であって、持続化給付金事務局と相談が必要な場合もあると思われます。

例えば

  • 確定申告はしているが、まだ開業届を税務署に出していない方。
  • 発注先に契約書を結んでもらえず口約束になっている方
  • 会社員の副業で事業収入と給与所得の両方がある場合は、事業収入のみが50%減っている方

・  性風俗産業の運営事業者、政治団体、宗教上の組織や団体などは給付対象外ですが、オーナーが対象外であって、風俗嬢やそこで働く女性たちなど業務委託契約で働く個人は対象となります。

  • 連結決算を行っている法人

特例は、給付額の算出方法がそれぞれ異なりますから注意が必要です。

 まとめ

コロナウイルスの影響は経済にも大きな衝撃を与えており、特に中小企業や個人企業では、厳しい資金繰りとなっています。

従ってこうした経済産業省の給付金は事業者にとっては大きな助け舟ですが、申請手続きは簡単ではありません。税理士事務所と顧問契約を結んでいる事業所はさほど問題なく申請手続きができると思われますが、個人事業主の方たちは自分で手順を追って手続しなければなりません。

おまけに電子申請ですから、慣れていない方は大変と思われますが、経済産業省のコールセンターを積極的に使って、給付金をもらうようにしましょう。

なお、給付金のこの制度は、これで完結しているわけではなく、給付対象者の範囲などが拡大される可能性があります。当社は売上が前年度比50%も減少した月がないからといって放っておかないで時々推移をチェックするようにしましょう。

2019年の売上がない事業者、2020年となってから法人を設立した事業者、2019年中はまったく事業活動がなく、売上が立ってなかったという事業者の場合は比較する月がないため支給対象とはなりません。