今後は当分の間、人材の採用、特に中途市場は売り手です。求人者よりも求職者の方が少ない状態が続きます。景気もようやく持ち直して徐々に回復基調が見られるようになりました。

そのため企業の求人数が増加し、企業の思う通りには人が集まらない時代に入ってきました。大手と言われる企業でも必要人員の確保には苦労していますので、中小企業ではさらに厳しい条件の中で人材を確保していかねばなりません。

高校新卒者や大学新卒者、あるいは第2新卒者はどうしても大手企業に偏重する傾向があります。

既に求人倍率も1.6くらいに達しているところもあり、中小企業にとっては企業の成長にかかわる重要経営テーマとして人材確保が遡上に乗ってきました。

企業が中途採用者に求めるものは?

これは大企業でも中小企業でも同じですが、中途採用者に求める資質は即戦力です。新卒者には例え専門高校、専門大学であっても即戦力は求めていません。中途採用者には求めます。

営業部門から必要人員何人、製造部門から何人、というように採用希望人員の員数が出てきます。採用担当部署は員数をまとめて、経営者に報告し、経営計画との整合性が調整されます。その上で人員採用実施計画が作成され実行に移されます。

ここで重要なことは必要人員の集計だけでなく、採用予定者の資質に関する各部署の要望です。

営業部門は必要人員の割り出しだけでなく、こんな人を採用してください、という人材の資質に関する要望が出てきます。わが社の営業部門で必要とする最低限必要なスキル、経験あるいは勤務条件などです。

人と話すのに抵抗がなく、積極的に自分の考え方が述べられる人、物事がポジティブに考えられる人、わが社の営業が行っている商品、業界についての知識または経験がある人、そして多少変則的な勤務条件でも問題ない人、などです。

製造部では、求職者の持っているスキル、資格などが直接的に問われます。機械工場では工作機械による加工が可能か、扱ったことのある工作機械は何、経験年数は、など。

あるいはクレーン操作やフォークリフトの運転免許、溶接加工などの資格はあるか。業種によって必要とする技術、技能、資格が異なりますが、即戦力とはこのようなことです。

採用する人物像が明確になっているか?

中途採用の場合は、必要とする人材の人物像が明確になっていないと、求人募集してもムダです。大手企業のように、多少の歩留まりを見込んで大量に採用できる環境にないからです。

10人必要なら10人全部に採用条件が合致していることが必要です。10人面接に来て、採用条件に合わなければ採用者0もあり得ます。

ここで重要なことは各部署から要求されている採用人員希望数と合わせて、上記のように必要とする人物像も提示されます。これらをもとに、採用担当部署では、各部署が必要とする人物像を具体的に採用基準や採用条件としてチェックシートを作ります。

そしてチェックシートで採用担当者は求職者との面接や採用試験を行います。採用基準にあいまいな、または抽象的な表現のある項目は無意味です。なるべく人によって評価が分かれるような質問は避けましょう。

中小企業によくあるのは、採用に関して採用基準が明確になっていないことです。会社の戦力として人を採用するのですから、求職者と求人者とのミスマッチが起きないよう十分な対策が必要です。

 中途採用に有効な採用方法

中小企業の中途採用は、自社が求めている人物像や採用条件を明確にして採用に臨むことが重要です。中小企業が最も多く使っている方法は転職サイトを通じての求人です。ある程度の数の応募者を集めるにはよい方法です。しかし最初から自社の採用基準に合致する人材に合うのはマレでしょう。

根気よく何度も募集を繰り返す覚悟が必要です。なかなか集まらないからといって、年齢、経験不問という採用条件を記載しないでください。多くの応募者が集まって、逆に選考のために膨大な時間と経費がかかります。

人材紹介会社を使う方法も中小企業にとっては効率がよく有効な方法です。

紹介手数料として採用者の年収の20~30%を支払わなくてはなりませんが自社で必要とする人物像や採用条件を予め示しておけばそれに合った人材だけを紹介してくれます。

紹介された求職者に面接をして採用者を最終決定します。紹介された求職者の中に必要とする人材がいなければ手数料は発生しません。

ハローワークも一般的ですが有効です。紹介は無料ですから使わない手はありません。求人票を提出すればすぐにでも求職者の紹介が行われます。

失業した人がハローワークの失業給付金を受給しながら求職活動している人が多いです。但し、高度なスキルや資格を持った人あるいはキャリアアップを狙っている人達を求人したい時は不向きです。

他にも転職フェアに参加する方法や新聞、雑誌に求人広告を出す方法もあります。

中小企業の従業員の募集方法 ~ハローワークだけでは集まらない~