介護生活と夫の膀胱ガンで税金も払えない極貧借金生活からの復活劇
2016/07/12
夫と3人の子どもをもつアラフィフ世代の主婦です。
今は昔の話なので、あえてそれぞれの年齢は明記しません。ただ数年前までは非常に困窮していたとだけ書き記したいと思います。
目次
マイホームを購入 順風満帆な生活
第一子が幼稚園に入園するのを機にマイホームを取得しました。
時を同じくして夫が脱サラ。営業職だったので自分の顧客をある程度引き寄せることはできました。当時私は専業主婦で、夫の新しい仕事を自宅で手伝いながら子育てをしていました。
住宅ローンは月々の返済が約13万円。ボーナス月には40万円超の支払いでした。住宅取得に際して、保証人として夫の父親がハンコを捺してくれました。
この頃、仕事は順調に滑り出し、月々の住宅費の支払いには困らない程度の暮らしができていました。
早すぎる介護がはじまった・・・・
義父(夫の父親)は長年勤めた会社を定年退職して間も無く体調を崩し、病院通いの日々が始まりました。
義父の病気は脊柱狭窄症と軽度の脳梗塞。歩行が困難なことに加えて言語にも少し障害が起きました。通院生活に付き添うのは主に夫です。自分の仕事も忙しいなか、父親の介護が始まりました。
30代後半、働き盛りの夫の時間はどんどん削られていきます……。
入院も何回したかわかりません。通院、投薬、リハビリ、そのすべてに毎回夫が付き添いました。
私も出来る限りのサポートはしましたが、病状と今後の治療方針などを決める際の医師との大切な相談事には、やはり実子である夫が同行しなければならなかったのです。
その都度夫は自分の仕事時間を割いて、仕事にも家庭生活もシワ寄せは少なからずありました。
義父は自宅で一年半ほど在宅介護の後、特別養護老人ホームで9年間お世話になりましたが、在宅の頃というのは福祉のサービスを利用することも出来ず、介護用品や紙おむつなどの消耗品もすべて実費での支払いでした。
正直なところ、普段の生活費に加えてこれらの出費は痛いです。
おそらく現在なら在宅でも何かしらの介護福祉サービスを利用して少しでも安く買い物をすることもできるのでしょうが、当時は必要に迫られて購入するばかりでした。
特別養護老人ホームにおいても、家から持出しの衣類や備品類は新たに購入するものが殆どでした。
ホーム入居費(食事代ほか雑費含む)や介護期間にかかった費用の総額は9年間で約1,000万円は下りませんでした。
結果的に義父は自分が長年勤めて掛けてきた年金のすべてをここで使い果たしたことになります。
生活費の倍増
義父は私たち家族とは別所帯で、法律上の配偶者もいます。
嫁、つまりは私から見れば義母ですが、元々夫婦仲は良いわけでもなく、介護においても消極的だったために私たち家族に負担が及んだわけです。
子どもが親を看ることは覚悟していたとはいえ、自分の家と特養ホームと義母の家の3ケ所を掛け持ちで観てまわるのは本当に大変でした。それぞれの場所でかかる生活費が重くのしかかってきます。
収入といえば、義父の年金と夫の稼ぎだけ。私が本気でパート探しに動き始めたのもこの頃でした。
まさかの事態・・・夫が膀胱ガンになる
新居の取得から5年目のことでした。父親の介護をしていた夫が膀胱ガンになりました。
自営業者にとって健康が損われるのは致命傷です。
幸いなことに、すぐさま命に別状はないということでしたが、手術のために数日間の入院、その後の通院など含めると、かなりの期間にわたって仕事の出来ない時期がありました。
ある程度の生活費は医療保険でカバーできました。この時利用した保険というのは、夫が知人の紹介で加入していた生命保険のガン特約で、診断後すぐに医師に診断書を書いてもらい、一時金として300万円が支払われました。(保険についての具体的な情報は医療保険は必要か?貧乏人は病気なんてしていられないで書きました。)
しかしながら、長引く通院で仕事にならなかった分の不足金の補填などに充てると住宅ローンの返済は厳しい出費となりました。
初診から3年の間に夫は膀胱ガンを4回再発。
もう自営業もなかなか難しい状況となり、生活費を得るために深夜運送会社のアルバイトに行ったりもしていました。
かさむ教育費
介護の必要な義父、病気の夫……。
本来ならば外で稼げる筈の人たちが戦力外となり、私も子育てのかたわらパート仕事に就きました。
子どもたちは受験に失敗したため上の二人は私学の高校へ。
まだ当時は学費の減免措置の制度は無く、二人の子どもそれぞれに高校卒業させるのに学費や交通費を含め200万円ずつはかかりました。
入学に必要な準備金は育英会からの借入金です。在学中の教育費も一部育英会から借り入れました。
月日の流れは早く、第一子も高校卒業を控えた最終学年となった秋のことです。
この年は収入もろくに無いのに、本当に学費の負担が大きすぎて生まれて初めて身内にお金を借りました。
今までただの一度も親きょうだいに相談すらしたことが無かったのですが、秋に第一子の専門学校の入学が決まり、直ちに入学金30万円を入金しないといけない状況の中、第二子の高校の授業料2期目分を翌々日には用意しておかなければいけなかったのです。こちらも金額は30万円弱。
一週間に60万円はさすがに簡単には用意できず、実父への借り入れ申込を考えていたところ、私の姉が助け船となって、30万ほど貸してくれました。
金欠を愚痴る私に、同じく子どもの大学入試を控えた友人がくれたアドバイスが本当に役立ちました。
それは行政の生活支援金貸付制度でした。
正しくは生活福祉金と呼ばれています。全国の社会福祉協議会で同様の貸付制度があるのでご参考になればと思いご紹介します。
⇒教育費のために生活福祉金(無利息)を借りました。(申請手続きや審査について)
借り入れるお金の使用目的と現在の生活状況を審査してもらわなければなりませんが、正規の手続きを踏んで申請し、承認を得られたら福祉金は無金利で貸し付けてもらうことが出来ます。
これは学校に進学する目的以外でも借り入れ可能ですが、我が家の場合は進学先の学校で奨学金を得るまでの一時的な措置として100万円ほど利用させてもらいました。
具体的な返済方法として、借り入れた本人(子ども)が学校を卒業した年の半年後から、在学年数の倍の年数をかけて返済していくことになります。
学校を卒業した現在も、育英会や生活支援金の返済は続いております。
税金も支払の督促がくる生活に・・・
住宅ローン、自動車税、何かを所有するというのは時として厄介で……、これらも決まった時期に払わないといけないようになっていますが、払えません……。
払わないと督促がくる。けれども、払えない……。
税金の支払は放置しておくのは一番良く無いことです。
役所は話のつけ様次第で待つこともしてくれますし、分割にもしてくれます。要は、払いたいけど払えないという姿勢を汲み取ってもらうことです。
もう何年かかったか忘れてしまいましたが、固定資産税、自動車税については過去の分は全部払い終えることが出来ました。
相変わらず住宅ローンは残っていますが……。
お金に困っている方へ 一人で悩まないこと
特養ホームでお世話になっていた義父は入所から9年目に亡くなりました。
独り住まいの義母は遺族年金で生活していて私たちがお金の援助はしなくて良い状態になりました。
子どもたちも成長し、それぞれに自分の家庭の経済状況が決して良く無いことくらい解っています。
第一子は専門学校卒業後、生涯転職に困らない職業に就いて早々に結婚してくれました。第二子も高校卒業と同時に就職。昨年結婚して自分の家庭を築いています。
お金は無くても、常に明るく人と接することにより周囲から助けられることも沢山あります。
私が自分の経験から言えることは、お金の無い状況を決して悲観しないことです。どんなに困窮していても、その状況を誰かに話すことによって救いの道は必ず開けてきます。
今日より悪い明日は無いと思いながら生きてきたけれど、現在、その通りの毎日を過ごせています。たとえ借金しても、そこから逃げないこと。
そして、家族のいる方は痛みも共有して乗り越えて欲しいと思います。
我が家にはまだ住宅ローンの残債が1,600万円ほどあります。最近になって私の実父の遺産分割をしたら、ちょうど返せる額でしたが、あえて返済には充てませんでした。
夫も私もまだ働ける年齢です。自分たちへの戒めの意もこめて、これからも真面目に働いて返済していこうと思っております。