専業トレーダーのアーヴです。
少し前ですが、7月25日にトルコ中銀は4.25パーセントの利下げを行い、政策金利は19.75パーセントとなりました。
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利下げ後のトルコリラ円の動き
トルコ中銀総裁をクビにしてまで行った今回の利下げは、エルドアン大統領にとってはまさに念願の出来事だった訳ですが、この利下げの後、トルコリラ円のチャートには少し不思議な事態が起きたのです。下の日足チャートをご覧下さい。
少し分かりにくいですが、7月25日の足は利下げ発表直後売られたものの、そこから大きな下ひげをつけ、さらには次の日から強烈に上昇しています。
「あれ?利下げって売り材料じゃないの?」と思われた方も多いと思います。実際私のところにも、某素人トルコリラ戦士が問い合わせに来たりもしました(笑)
今回はこの「利下げしたのにトルコリラが売られなかった理由」を、私なりに考察してみたいと思います。一月前の出来事なので少し賞味期限が切れた感もありますが、ケーススタディとして今後の参考になるかと思いますので、是非是非ご覧下さい。
利下げしたのにトルコリラが下がらなかった理由その1 g20での雪解けムード。
まずはこれですかね。ロシアのミサイル導入がなんちゃらでもめ続けていたエルドアン大統領とトランプ大統領ですが、6月29日にg20で行われた会談では、くせ者同士意気投合したのか、かなりソフトな内容が発表されました。
https://jp.reuters.com/article/g20-summit-putin-erdogan-idJPKCN1TV079
首脳会談後にエルドアン氏は、S400は7月前半に引き渡しが行われると述べ、制裁はないとトランプ氏から直接聞いたと説明した。
中略
先にトランプ氏はトルコに制裁を科すかと質問され、この問題が議論されていると述べた上で、双方が「異なる解決策」を模索していると説明した。
若干の隔たりがあるようにも思いますが、エルドアン大統領の発言を信じれば、s400を導入してもアメリカはトルコに経済制裁をしないと明言した、と言うことが出来ます。
実際、8月21日現在も特に制裁云々の話題は出ていませんので、一応制裁は回避できたと、少なくとも7月25日にはそういう認識になっていました。これが一つ目。
トルコリラが下がらなかった理由その2「インフレ率の低下」
これが結構大きかったですかね。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-03/PU27V56VDKHS01
3日発表された統計によると、6月のインフレ率は15.7%と、前月の18.7%から低下した。ブルームバーグが調査したエコノミスト22人の予測中央値は16.1%だった。7-9月(第3四半期)にインフレ率は11%付近に落ち着くと見込まれている。
まあ、15パーセントのインフレ率っていうのも中々ですが、予想よりは低かったと。そして今後も下がる見込みが出来た。この2点は今回の利下げの大きな理由であり、かつトルコ経済の混乱が収まってきたと見る事が出来ます。
トルコリラが下がらなかった理由その3「ドル安」
これも重要な要素ですね。利下げ観測によりガンガンドルが売られたため、トルコリラショック時のような超ドル高相場では無くなっていました。
自国通貨の立ち位置が確立している日本人には馴染みが薄いかもしれませんが、新興国にとってはドルが第2の通貨であり、自国通貨が危うい時の受け皿みたいなところがありますから、利下げによって積極的にドルを買いに行く行くような流れがストップしたのは大きいと思います。
そもそも今もトルコの金利は高い
4パーセントの利下げといっても、それで政策金利20パーセントですからね。まあ、というよりも超高金利=トルコの危機みたいな構図もありましたので、それが上記の理由により和らぎ、投機筋が積極的なリラ売りをしなくなったというのが総合的な理由になるかと思います。
今後もトルコリラに関しては、利下げが買い材料みないな、訳の分からない展開が続のではないでしょうか。
まとめに代えて、現在のトルコリラ円。
やや怪しい雰囲気が出ています。20円台に届かなかったのは大きいですね。
正直、いつ何が起きるかわからない通貨なので、今回の利下げがあってもトレンド転換とかそういう訳ではなさそうなのが現状です。
しばらくはまだ底値圏でレンジが続きそうですが、個人的には底値狙いで買おうとは思わないです。スワポの旨味も落ちましたし・・・
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