ツアーナースの仕事内容について【怪我や急病などの応急処置病院などの付き添い看護】

看護師の仕事場所は主に病院、診療所、クリニック、訪問看護ステーション、老人保健施設、デイサービス、訪問入浴。などがすぐに思い浮かびますね。旅行などに行くと添乗員さんが付き添って旅行を楽しく無駄なく案内してくれます。

実はその他に小学校や中学校、高校の修学旅行や野外活動、部活動の遠征などに付き添う看護師がいるのをご存じでしょうか?

これがツアーナースです。今回はツアーナースの業務内容についてお話します。

ツアーナースのお仕事について

ツアーナースの主な仕事は健康管理、怪我や急病などの応急処置病院などの付き添いなどです。学校なら大概、保健室にいる養護教諭がそれに当たります。学校では対応しなければならない生徒の人数が多かったり、保健室の先生のスケジュールがあわなかったりする場合にツアーナースが代わりに付き添います。

男子ラグビー部のツアーナース

仕事の内容を実例に基づいて進めていきたいと思います。

まずは男子高校のラグビー部のツアーナースのお話です。一週間の合宿練習のために地方都市の山の中の合宿所の仕事です。季節は七月の終わりの夏真っ盛りです。

ツアーナースは合宿の五日前に学校担当者との打ち合わせを行います。日程や生徒の健康状態、既往歴、緊急連絡先などを確認します。当日はバスでの移動です。その中で生徒たちと始めて顔を合わせます。

バスでの車酔いへの対応

バスでの移動中、早くも車酔いの生徒がでてしまいました。

吐き気があるけど嘔吐はないという状態、顔色はやや悪いもののバイタルサインは良かったので衣服を緩め前かがみになるように説明しました。車酔いのために酔い止めの薬も用意してありますが、出来るだけ薬は使わず自然な回復力での回復を待ちました。

好きな音楽を聞かせたり、うがいをさせたりして、なんとか、嘔吐することなく現地に到着しました。それぞれ部屋に分かれ車酔いした生徒を訪ねるとすっかり良くなったとのことで一安心しました。

さて、合宿場に着いたら、食堂で監督から全員にミーティングがありいよいよ合宿の始まりです。その日は到着が夕方近かったのでランニングだけで終了しました。

練習での怪我への対応

次の日は早朝から練習です。練習が始まってからは転んだりした怪我が多く、洗浄をしたり消毒をしたりして絆創膏などの軽い処置ばかりでした。日中は擦り傷、打撲等の手当てに時間を費やしました。

一日の練習が終了後、ほっとしたのもつかの間、走りすぎたせいで足が痛くて眠れないという生徒がいました。歩行は出来ていて腫れや傷がないので、ただの筋肉疲労と判断したので、アイスノンで冷やす処置を施したところ、翌日には練習に参加できました。

熱中症の対応

真夏なので熱中症も念頭に置いてツアーナースは活動しなければなりません。日差しはそれほど強くなかったのですが、やはり熱いので熱中症の症状の生徒がでてしまいました。練習中は適宜、休憩をとり水分補給もしていますがサッカーなどのスポーツは運動量が激しいので、すぐに体の中の水分やミネラルを失ってしまいます。

その熱中症の疑いのある生徒は頭が痛いと言い始めました。これは、熱中症による頭痛と判断しました。

すぐに木陰の涼しい所に寝かせてあらかじめ用意しておいた霧吹きに水道水を入れて上半身のユニホームを脱がして(女子の場合は出来ませんが。)体全体に霧吹きで水をかけました。熱中症になり体温が上がったら冷水をかけ水風呂にいれたほうが効率良いのではと思う方も沢山いるかもしれません。熱中症の時に体を冷やしすぎると表面だけ冷やされて深部体温が下がらず、結局状態を悪化させてしまうということがあります。

あとは意識がはっきりしているのでイオン飲料を飲ませて両サイドの首を冷やしクーリング処置を行い、状態は良くなりました。

脳震盪の対応

ラグビー部なので体と体が激しくぶつかり合う競技です。

今度は生徒の一人が激しく頭をぶつけてしまいその場から動けなくなってしまいました。意識は脳震盪をおこしてしまい、はっきりと受け応えが出来ませんでした。手足の動きがなかったので頚椎損傷を疑い、首を絶対に動かないように両手で保持しました。監督に救急車の手配を頼み他の生徒に頭部保持を依頼し、ツアーナースは他に損傷がないか全身をチェックし、再び救急車が来るまで頭部保持を交代して待ちました。数時間病院で様子観察し、安静にして帰りました。

ツアーナースは最初旅行気分で出来る簡単な仕事だと思っていましたが、緊急時の対応、知識、処置は多くにわたりとても責任が重い仕事だと痛感しました。

一方でとてもやりがいのある仕事なので、またいつかやってみたいと思いました。