災害看護、トリアージについて

災害というと皆さんはどのようなことを連想しますか?最近では東日本大震災でしょうか?

災害の定義というのは特に決まりはありません。救急外来に救急車がたくさん来て皆が右往左往してしまえば狭義ではそれも災害になります。災害で切っても切れないものがトリアージというものがあります。トリアージという言葉自体はフランス語で選別をするという意味です。


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日本のトリアージの始まり

これはどこから出てきたか言葉かというとかなり昔の話になります。

静岡の地下の商店街でガス漏れによる大爆発がありました。人的被害も大きく沢山の方が怪我をして亡くなりました。爆風でガラスなどが割れ怪我をする人、建物が崩壊して下敷きになってしまった人、火災に巻き込まれた人大勢でした。

そんな時、軽症の人は歩くことが出来ます。その足で医療機関に駆け込み治療を受けようとします。これは当然の考えであり軽症とはいえ治療は必要だと思います。

しかし軽症者の治療に医師や看護師は忙殺されてしまい重症者の対応に遅れ軽症者だと思っていたが、実は重症でそれを見逃してしまい本来なら助かるべき人が大勢いたにもかかわらず亡くなってしまったということが事後検証でわかりました。

そこで登場したのがトリアージです。

トリアージで治療の優先順位をつける

初期の段階で簡単な医学的所見で大まかな選別をします。災害現場ではあるいは病院の中で沢山の被災者を同時に治療をすることは出来ません。トリアージで治療の優先順位をつけます。

トリアージをして優先順位をつけても繰り返しトリアージをする必要があります。まだ軽症だと思っていた人が重症かもしれないとりこぼしがあるかもしれないからです。

DMATの誕生

もう一つ災害が起きて変わったことがあります。阪神淡路大震災をご記憶されている方も沢山いらっしゃることと思います。被災された方も桁違いの多さでした。救出、救助の面からのアクションは早かったと思います。医療的な側面からはどうだったのかというと残念ながら遅れをとっていました。

医療的側面ではどのようなことが行われたかというとライフラインが閉ざされた医療機関において被災者の収容や治療を行っていました。医薬品などの支援は交通があれば受けられても医療従事者本人も被災者になっていることが多かったです。医療機関では当然働ける人が少なくなります。

また医学的側面の支援の遅れからそれを何とかしようと、誕生したのがDMATです。

DMATとは特別な訓練を受けた機動性のある医療派遣チームです。チーム編成は医師が2人、看護師2人、業務調整員(事務員)1人など大体5人編成です。チームによって若干編成は異なることがあります。(参考:特殊な看護師の仕事【DMATについて】

最近ですが、国から災害拠点病院の指定を受けるには病院にDMATの存在が必要になってきました。この記事を書いている私も看護師でありDMATの隊員でもあります。

DMATの隊員になるには災害拠点病院の本部で約四日間の研修を受けて修了試験に合格しないといけません。職種にもよりますが災害の知識、医学的なこと、衛星電話やトランシーバーの取り扱い、トリアージの実習、など多義にわたります。

講義、実習を繰り返しとてもタイトでハードな研修でした。資格は5年間有効でその間に技能維持研修などを受ければ更新は出来ます。そのDMATも東日本大震災では活躍をしました。それにより助かった被災者たちも大勢いたとのことでした。

病院や救護所、あるいは被災地の被害のひどい現場でも活動するので警察や消防などとも連携をとりながら活動するので危険な場所にも赴くことがあります。私はDMATの隊員ですがまだ現場には派遣されたことがありません。でもいつでも対応できるように準備はしています。

看護師としてもしそのような災害看護に携わることが出来誰かのために役立つことが出来たら嬉しいです。

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