本当に困った患者さんの物語【ブラックリストの患者さん】

看護師をしていると色々な患者さんと出会いますね。すごくいつも恐縮している方、落ち着きのない方、検温時にいつもいない方、ベッドで本を読みテレビを見ている方、千差万別です。

その中でも最も困るのが何かにつけて文句を言い非協力的、暴言や時には暴力的な方です。

救急外来でもそんな患者さんはいらっしゃいます。

病院で問題を頻繁に起こすような患者さんはブラックリストに入れられます。

「病院で問題をおこし強制退院したり、暴れたり無断離院、病室で飲酒、喫煙などした患者さんはもう受け入れはしませんよ、診察は出来ませんので注意しましょう」

と病院内でもアナウンスされています。

ですが、ブラックリストに登録されている患者さんに限って救急要請を頻繁にしてくるものです。

ブラックリストの患者さんからの救急要請があった場合

救急隊から受け入れ要請の電話が病院で入ります。

患者さんの名前、生年月日を聞きま、病院の端末で検索し、ブラックリストにヒットするとどんな問題をおこしたか詳細に記載されています。瞬時にブラックリストの人であるかどうかわかってしまいます。その場合は、申し訳ないですが、受け入れ要請は断ります。

献身的に受け入れはもちろんしてはいきたいのですが、収容して再度問題をおこされた場合、その間の診療はすべてストップしてしまいます。そうなった場合、本当に診療が必要な方が適切な処置が受けれなくなってしまい病院の本来の機能が麻痺してしまうのです。

ブラックリストの患者さんの受入を拒否

救急隊には受入ができない直接の理由を伝えません。処置中、病棟で医師が対応中とかの理由で受け入れを断ります。

ですが、救急隊もそれだけでは引き下がりません。なぜなら近隣でブラックリストになっていて近くではどこも受け入れてくれないからです。

非常に困りますよね。例えばその救急隊が五反田の救急隊だとします。命に切迫している状態なら三次選定し(参考:1~3次救急とは)、救命センターで受け入れはすぐに決まります。

そんな患者さんに限って救急要請をした理由は

「お酒を飲んだら頭が痛い」「お酒を飲んだらお腹が痛くなった」

といった軽度なもので、自分で病院に行けるような状態の患者さんばかりなんです。

そのような患者さんを三次の救命センターなどには絶対に搬送できません。

救急車は受け入れ先の病院が決まらないと動けません。車内収容してからあっという間に一時間、一時間半と時間はどんどんと過ぎていきます。救急車内の電話では間に合わないので指令センターにも受け入れ先の検索や要請の支援を頼みます。

やっと受け入れ先が決まりました。決まったところは埼玉でも群馬に近い所とか千葉県に近い東京のはじの病院とか山梨の病院とかとてつもなく離れた病院になってしまいます。せっかく受け入れた病院でも問題をおこしてしまうとその病院でも今後受け入れが出来なくなってしまいます。

そんな困った患者さんは

「入院をさせろ、帰りのタクシー代をだせ、一晩だけでも寝かせろ」等々、暴言も吐いたりします。

本当に困った問題です。

ブラック患者さんの問題は深刻

この問題は病院や消防だけの問題ではありません。行政の手も借りなければこの問題は永遠になくなりません。その救急車が遠くまで搬送している間や対応している間は当然ながらその救急車が使えません。本当にすぐにかけつけなければならない方のもとにすぐかけつけることが出来ない。すごく大変な問題も起きています。

救急車は要請時の電話代も無料です。利用してもすべて無料ですが一回の要請で万単位の税金がかかっています。しかし困った患者さんはそんなことは知る由もありません。要請時に暴れ暴言などが激しければ、警察官の付き添うことで受け入れをする場合がありますが結果は同じです。暴言を吐いたり、壁をたたいたり病院の備品を壊したり診察の結果入院の必要性がなく、異常がなければそのまま警察に引き取ってもらい自宅までの送りをしてもらいます。思わずため息の現場です。

参考:困った患者さんに対する看護対応の体験