看護師をしていると入院する患者さんや家族にアナムネを聴取することがあると思います。その中に喫煙歴を記載する場所があります。一日の本数、喫煙年数などでしょうか?これをお読みになっている新人看護師さんや看護学生の皆さんも年齢が様々だと思います。そして喫煙している方や喫煙歴のある方もいらっしゃると思います。
では喫煙している方はどんな理由で喫煙をしているのでしょうか?
看護師で私の大先輩は喘息持ちで試しに喫煙をしてみたら喘息が治った?!という方もいますが皆さんは絶対に真似はしないでくださいね。なんの根拠もありませんので。
喫煙の危険性
医学を学んでいる方なら喫煙は体に色々な危険性をもたらすものだとお分かりだと思います。
しかしこんな話もあります。循環器内科のある先生は救急車で運ばれてきた患者さんが検査の結果、心筋梗塞と診断されました。その先生は一日一箱を喫煙するヘビースモーカーなのですがその患者さんに向かって喫煙歴を尋ねたところ「タバコなんか吸ったっていいことはないですよ。現に心臓を患ってしまったので今後はタバコはやめたほうがいいですよ」と。
タバコはニコチンやタールなどその他有害物質が含んでいます。発がん物質も含んでおり肺がん、口腔がん、胃がん、食道がん喉頭がんなどがんの発症のリスクが高いことがわかっています。それだけではありません。COPDという慢性閉塞性疾患は長年の喫煙でなってしまうと言われています。
さらに糖尿病や心臓病、脳卒中、高血圧、動脈硬化といった生活習慣病をひきおこし悪化させてしまいます。女性なら妊娠していなくても将来において流産や低体重児を出産する可能性が喫煙していない方と比べると二倍も高くなります。
喫煙は本人だけではなく周りの方の健康にも悪影響を与えてしまいます。これを受動喫煙と言いますが日本ではその受動喫煙が原因で肺がんや心臓疾患で命を落とす方が毎年七千人弱いると厚生労働省からの報告があります。
喫煙でストレスは減らすことができるのか?
喫煙している方の中でよく「スッキリするから」「手持ちぶさただから」「ストレス発散だから」「習慣だから」ということを聞いたりします。これらは特に科学的な根拠は何もなく単なる癖とも言われています。喫煙でストレスは解消できません。
その反対で喫煙ができなければイライラしてむしろストレスが増してしまいます。タバコの禁断症状であるストレスを解消するために喫煙をしているようなものです。ニコチン依存症の典型的な悪循環を繰り返すでしょう。
禁煙をすると太るのか?
今までタバコを吸っていた方の中で禁煙をしない理由の一つとして「太ってしまうから」ということがあります。はたして本当でしょうか?これは本当です。確かに喫煙した後は体の代謝が変化を起こしてしまい禁煙後に一時的ですが体重が三キログラムから五キログラム増えてしまうことがわかってしまいます。
禁煙後の口寂しさという理由でお菓子などをたくさん食べてしまったら当然体重は増えてしまい結果太ってしまうということになります。その場合は禁煙を続けてお菓子などの間食をやめて運動したり減量をしたりすれば体重は戻ると思います。
今後の禁煙に対する世間の動向は健康志向が高く公共の場では禁煙の場が多く言葉は悪いのですが締め出されてしまうでしょう。またタバコの値段も以前と比べると高くなりこれがもとで禁煙をしている方もいます。喫煙をやめて禁煙を心がければたくさんの病気の予防や発症の予防にもつながります。これはとても重要なことですよ。
現在では禁煙外来がある病院もあります。禁煙したいがどうしても禁煙ができない場合は相談して禁煙し健康的な生活を長く続けていきましょう。