アルコール中毒治療病棟の看護【アルコール中毒の症状とは】

アルコールは百薬の長と言われるほど場合によっては体にいいものです。しかし過剰摂取すると体や精神に異常をきたしてしまいます。そんなアルコール中毒の治療病棟のお話を看護師の目線でお話をさせていただきます。

アルコール中毒について

アルコールは習慣性がある飲み物でいつの間にかたくさん飲まないと正常ではいられなくなり次から次へとアルコールを飲まないと落ち着かないということがあります。自制が効かなくなり気がついたら病院のベッドにいた、警察に保護されていた、なんてこともあります。自制が効かなくなるほどアルコールを摂取してしまうことをアルコール中毒と言います。

アメリカなどに行くと専門の治療施設がありますが、日本では精神科の病院で治療をすることが多いので、そこがメインの治療場所になります。

アルコール中毒で入院

アルコール中毒を直すにはアルコールを断たねば話になりませんね。入院した場合は症状にもよりますが閉鎖病棟(鍵がないと出入りが出来ない病棟)の入院になります。治療は入院したらアルコールが断たれるのでその時点から治療が始まっています。

一般病棟では簡単にアルコールを入手出来てしまうからです。病院によっては厳しいところもあり治療中に指示に従えなかったりなめただけでもアルコールを摂取したことがわかれば強制退院になると言う同意書にサインをさせられる所もあります。

入院すると医師の問診から始まります。いつから大量飲酒が始まってしまったのか?既往歴や家族歴等が聞かれたりします。アルコール中毒の患者さん全体にいえることなのですが、男性が多く家庭は崩壊していることが多く見受けられます。

なぜなら多量のアルコールの摂取で交通事故を起こしてしまったり、酒乱で暴力をふるい、仕事を失った等の理由により家族が一緒にはいられない状況になってしまうからです。

内科的な治療も同時に実施

アルコール中毒の患者さんはアルコールの過剰摂取により内蔵も痛めていることが多いので内科的な治療も同時に開始しなければなりません。特にアルコール性の肝炎やその肝炎から肝硬変に移行しその他の臓器も痛んでいることがあります。

医師はアルコール中毒だけを直すのではなく内科的な治療も平行して行われます。症状としてはアルコールのせん妄が見られます。よく聞くのが黒い虫が見え飛んでいるということが多いです。なぜ黒い虫なのかはわかりません。手足が震えたりすることもあります。不眠の訴えもでてきます。看護師は患者さんに対して安全の確保をしなければなりません。せん妄でふらふらするような場合は転倒が心配です。転倒や転落をしないようにします。

どうしても安全が確保できない場合や不穏になった場合は保護室という個室に入れて観察します。この保護室は精神保健指定医という特別な資格を持った医師でなければ入室の許可が出せません。アルコール中毒の患者さんとはいえ人権がありますからね。

入院中はアルコールを摂取できない薬を服用

入院中はアルコールの摂取は出来ませんが、アルコールを飲んでしまったとしても体に吸収される前にアルコールを体外に出してしまう薬の内服が始まります。小さじ一杯のお酒を飲んでも嘔吐を誘発させお酒を出してしまいます。このお薬の特性をよくわかるようになると内服をごまかそうとする患者さんもいます。

看護師は確実に内服したかどうかのチェックも重要です。状態が良くなると精神療法や断酒会の参加が始まります。外出や散歩などの許可もでます。看護師は断酒がうまくできるように入院生活をうまくサポートする任務があります。アルコールを摂取しなければごく普通の人です。目に見えて治療の効果は見えてくるのが魅力だとは思います。

しかし残念ながら退院しても再摂取し舞い戻ってくることも多いです。

参考困った患者さんに対する看護対応の体験

そこもまた看護に携わればジレンマになってしまいます。根気のいる仕事ですが完全に社会復帰できたとき看護師として喜びはとても大きいです。