臨床実習でのくも膜下出血の患者さんとの思い出【臨床実習体験】

看護学校に入学して課程が進んでいくと避けて通れないのが臨床実習です。

看護学校にもよりますが、実習場所があちこちあったりすると大変ですね。私の場合は専門学校だったので実習場所は科目ごとに違うところになり飛んで歩いたのをよく覚えています。

看護学校の臨床実習について

まず、実習で一番やってはいけないのが遅刻です。遅刻すると実習の評価にすぐ影響するので下手をすると再実習になる可能性があります。実は極度の方向音痴のため三回くらい遅刻し、かなり怒られました。

そして、苦労したのが、やはりレポート提出ですね。事前学習のレポートや疾患の学習、実習の目標などかなり厳しくチェックされるので何回も再提出させられました。

臨床実習の思い出

初めての臨床実習は緊張しましたし、回数を重ねても慣れるという事はありませんでした。

まず、着替えて病棟に行き実習生である事をスタッフに紹介されます。それからオリエンテーションを受け担当の患者さんを紹介されます。

どんな患者さんかは再びナースステーションに戻りカルテなどを参照し情報収集します。看護目標や看護計画を立案しいよいよ患者さんのもとへ行きます。患者さんの一日の看護計画に沿っての実習です。

清拭や部分清拭、更衣、検査の付き添いや見学を行います。担当した患者さんはくも膜下出血で開頭手術を受けクリッピングの手術を受け、その確認のための脳血管撮影をする必要がある患者さんでした。

その患者さんは救急車で病院に運ばれてきたのは覚えているが、後の事は全く記憶なく、検査の説明を医師や看護師から受けても不安感が強くあったとの事でした。

いよいよ午後二時から脳血管撮影の時が迫ってきました。

病室で検査着に着替えるのを手伝いながら私は「Aさんは病気で重症だったのだからそれをほとんど乗り越えてきて後一歩で山頂ですよ。そうするとすばらしい景色が待っているのだから一緒に頑張りましょう。」と励ましました。こんなとき自分はなんて声をかけられたらうれしいか、とっさに考えて口からでた言葉でした。

不安だった患者さんの顔から笑みがこぼれ血管造影室まで付き添いました。検査は三十分位で終わり結果は良好ということになり後は家族と退院の日程を決めるだけとなりました。

検査は右の鼠蹊部のところから穿刺をして止血のために数時間はベッド上安静になりました。しばらくとはいえ右足を曲げたら出血をしてしまうので検査そのものよりも検査後の今の方が辛いのではと患者さんを労いました。そのとき思ってもみない言葉が返ってきました。

「私も君と一緒にすばらしい景色をみたいからこんなのは我慢できるよ。」と声をかけられ涙が出るほど嬉しかったです。

夕方になり実習生はカンファレンスを行います。今日の実習の反省点、良かった事、悪かった事、目標を達成できたかなどです。

実習を経験された方ならこのときはどんな事をするのかはご存知だとは思います。下手なことを言うと実習指導者や教務に根掘り葉掘り言われて聞かれて答えが詰まってしまう事がありとても嫌な時間でした。

今日の私の目標は脳血管撮影を受ける患者さんの検査の見学と検査に対しての不安の軽減でした。検査の内容は見学し、説明も受けられたのでよくわかりましたが、血管の走行や形などは難しくてよくわかりませんでした。

しかし、不安の軽減については自分なりに考え励ます事が出来たのではと思う事が出来ました。

看護師は人間相手の仕事です。一人として同じ人間はいないと思います。性格も一緒です。同じ性格の人はいないと思います。個別に対応した看護というのはいかに難しいか、またそれが出来たときの達成感が大きく私はまだこの仕事を続けています。それを学ぶ臨床実習はとても大切です。そこで学んだ事は何かのきっかけで役に立つときがくるでしょう。