胸啌ドレーン挿入が必要な自然気胸とエアリークについて

自然気胸という病気をご存知でしょうか?なんらかの原因によって胸啌に空気が漏れてしまう病気です。程度や症状が軽ければ何もせずに様子を見ることがあります。

しかし胸啌ドレーンを入れることがしばしばあります。

緊張性気胸や血気胸は命に関わる重症外傷として扱われます。あまり症例数が少ないので今回は割愛させていただきますが自然気胸は臨床でも取り扱うことが多いので今回はそのことに関することをお伝えしたいと思います。


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自然気胸とは何か

肺の一部が自然に破れてしまい肺が虚脱してしまう状態です。

自然気胸の原因

胸膜という肺を包んでいる膜が咳やくしゃみなど肺の圧力が上がったりブラと呼ばれる小さな異常な気啌が同様な原因で破れたり破裂したりします。リスクファクターとして喫煙歴がありあるいは喫煙中の若くて痩せている背の高い男性に多く見られる疾患です。特殊なケースですが女性の月経が関係して自然気胸になることもあります。

症状の現れ方

突然の呼吸苦や胸痛が現れるのが特徴的です。

検査と診断

レントゲン検査が第一選択となります。肺の虚脱がわかりやすく診断はしやすい疾患です。

治療方法

肺が虚脱している場所が肺尖(肺の先端部)が鎖骨の上にある場合は安静で様子を見ることができますが虚脱が大きい場合や症状が強い場合、自然気胸でも左右の肺に同時に起こると命に関わることがありますのですぐに胸啌ドレーンの挿入をします。(自然気胸は片側の肺に起こることが大多数ですが稀にしかも同時に起こることがありますから先入観を持たずに両方の肺をチェックしましょう。)

しかし胸啌ドレーンを入れても肺が膨らまなかったり再発を三回以上繰り返したりすれば手術になります。またブラが原因の場合はやはり手術により切除します。

胸啌ドレーンの目的

少し復習をしてみましょう。胸啌ドレーンは胸啌飲もれた空気だけを取り除くわけではありません。胸啌内に貯留した胸水、血液、漏出液なども取り除きます。必要物品、医師への介助の方法、患者さんへの声かけ観察、ドレーンや廃液バックの観察方法、性状の観察、ドレーンの固定方法、管理、ドクターコールの目安については前回の記事でお伝えしているので省略させていただきますね。

参考:胸腔ドレーン管理の業務解説

エアリークってなに?

エアリークは字のごとく空気漏れという意味ですが、ここでいうエアリークは胸啌内から気体が排出されている状態です。排出された気体は排液ボトルから水封室へ移行し水封室の液体で気泡(泡に状態)として確認できます。

それで何がわかるかというと気泡が連続してもられる場合はエアリークがあると判断します。しかし呼気(息を吐くこと)時のみに見られる場合は軽度の損傷として考えることができ自然に治ることがほとんどです。

でも吸気(息を吸うこと)、呼気に関係なく連続して見られる気泡は損傷の程度が大きいかドレーン回路のどこからか漏れがあるかもしれないので早急に原因検索をしなければなりませんよ。

エアリークがあるとなぜいけないかというと、せっかくドレーンによって虚脱した肺を膨らませているのにエアリークがあるとドレナージをしている意味がなくなるからです。修復しないといつまでも肺が膨らまず機能しなくなります。

ドレーン回路のチェックポイントはまず接続部をチェックします。何箇所か接続している箇所がありますよね。はずれていないか?緩んでいないか?特に胸啌に入っているチューブと排液バックの接続部分がはずれたり緩んでいることが多くトラブルの原因箇所として多いです。チューブに穴が開いていないかどうかも見てください。

その他としては手術後の合併症が考えられます。回路に異常がないかどうかを素早く見て早めにドクターコールしましょう。

患者さんの症状やバイタルサインも見逃さずに!

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