最近多くみられるトリアージナースとは【役割と使命について】

皆さんはトリアージという言葉を耳にしたことはありますか?

病院などで働けば必ずと言っていいほど聞いたことがあると思います。救急外来や救命センターなどではナースが来院した患者さんをトリアージすることがあります。


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トリアージナースとは

さてトリアージとは何でしょうか?

古くからはナポレオンの時代にまでさかのぼります。ナポレオンが兵士を率いて戦争をしたのはご存じだと思います。そしてたくさんの負傷者がでました。たくさんの負傷者を目の当たりにしたナポレオンは「一人の兵士を助けるのに十人の兵士を死なせてはならない」という言葉を残したそうです。

ナポレオンはトリアージの概念が、もしかしたら持ち合わせていたのではと言われていました。

トリアージの語源はフランス語です。そして意味は選別するということです。ブドウ農家が出荷するためにブドウを選別することに似ていることから患者さんをトリアージするということに使われました。

トリアージナースの誕生

1980年に静岡県静岡駅で地下街の大規模なガス漏れによる大爆発事故がありました。爆発の衝撃や爆風によるガラスの飛散で負傷する方が多く、近隣の医療機関は切り傷や切創などのどちらかというと軽症者であふれかえりました。

その時の医療機関の対応は医師、看護師ともその軽症者の対応に忙殺されていました。

ところがその間に重症者が次から次へと運ばれましたが軽症者の対応で治療をすぐに施すことが出来なかったため助かった命も助からなかったという事後検証で指摘をされました。

そこでトリアージの誕生です。

トリアージナースの業務

災害がひとたび発生するとたくさんの傷病者が発生します。

一人一人丹念に治療していたら大勢の方たちの治療が出来ません。ごく短時間(30秒程度)で意識、呼吸、循環その他の症状で重症度を判定して治療の優先順位を決めます。トリアージを行う人は二人一組でおかないます。

トリアージをする人、トリージタグに記入する人というようになります。トリアージを行う際、許される行為は止血処置と気道確保のみです。

他の処置をしてしまうと何百人といた場合トリアージが出来なくなってしまうばかりか重症者を見逃したり治療の開始が遅くなるからです。

この時に行うトリアージ法はスタート法というシンプルで簡単なトリアージ法を用いてトリアージを行います。

普段病院では意識が悪そうだなとか変だなと感じた患者さんに対して「大丈夫ですか?」と声掛けしますよね。

災害現場でのトリアージは「歩けますか?」という声掛けから始まります。歩ければカテゴリーは緑となり治療開始まで十分に待てるということになります。

歩けなければ呼吸数や意識の状態、脈は蝕知できるのかで準緊急の黄色のカテゴリーとなりすぐにでも治療を開始しなければ命の危険がある緊急の赤のカテゴリーとなります。

首の皮1枚で体とつながった状態や脳脱(文字通り脳が飛び出してしまった状態)など死んではいないがあるいは死んでしまった場合は治療不能あるいは治癒の見込みなしという判断になり黒のカテゴリーとなります。

この赤、黄、緑、黒というのはトリアージをした際に記入するトリアージタグの重症度を判定したときのカラーです。このように災害現場ではトリアージは重要になってきます。

日常の救急部門でもトリアージの重要性が取りあげられています。通常の診療でも大体は予約順や受付順になります。救急ではおおまかではありますが同じ流れになってしまうことが見受けられます。軽症者やコンビニ受診者も多いでしょう。

しかし、歩いて来院した=軽症者、救急車で来院した=重症者という成り立ちは100%ではないのです。正しいトリアージ法を身につけて軽症者の中の重症者を見つけて救命しなければならないというトリアージナースは重要な使命を帯びています。

※トリアージについてさらに詳しく知りたい方はこちらもご参考にしてくださいね。
災害看護、トリアージについて