あんな看護師いらない ~看護師としての自覚がない人~

看護学生の方や新人看護師さんは常に理想像と自分がなるべく看護師を一生懸命努力してなろうとしているに違いないと思います。もちろん私もそうだったし今でも当時の思いは変わらないと思います。

患者さんために、怪我や病気の患者さんを少しでも助けたい、治療のお手伝いをしたいなどなどそんな熱い志が心にお持ちだと思います。

看護師とはどんな仕事をするのでしょうか?

本題に入る前にすごく単純で簡単なことを問いかけたいと思います。

看護師はどんなことをする人でしょうか?

厚生労働大臣の免許を受け疾病者や褥婦などの療養上の世話、診療の補助をすることを業とするとありますね。何十年先、皆さんは看護師の仕事をしているかどうかはわかりませんがもし看護師をしていたならその言葉だけは忘れないでいて欲しいのです。

療養上の世話とは?

療養上の世話は看護師のメインの業といっても過言ではありませんよね。入院中の患者さんだったら朝、清拭をしたり口腔ケアの手伝い、食事の介助、着替えの手伝い、悩み事や話したいことを傾聴するなどたくさんあります。

診療の介助とは?

医師の指示で点滴や注射をする、内服薬の投与、検査や処置あるいは手術の介助等こちらも一口では言いあらわせないくらいたくさんあります。

療養上の世話と診療の補助はどこで行うのか?

病院や診療所、老人施設、訪問看護なら居宅となります。

看護師としての業の確認

くどくどと回りくどいことを書いてしまいました。

なぜならみなさんに看護師が行う業を再確認、だいたいは知っているけど詳しくは知らないという方のために書かせていただきました。そしてこれから記事に出てくる看護師には絶対にならないでほしい、なってほしくないという強い気持ちが込められています。

看護師を続けていく以上、そんな看護師いらないと後ろ指をさされるような看護師には絶対になってほしくないと思っています。

こんな看護師はいらない

私も看護師歴が長くもうベテランの域に入っていますが、本当に初めてで衝撃的な経験をしてしまいました。

それは

「本当にあなた看護師なの?」

「看護師なら免許証を見せてくれない?」

「どんな看護をしてきたの?」

と本当に口に出して聞こうとしてしまいました。

看護師としての自覚がない人との出会い

ある日勤をしている昼間にホットライン(救急隊から病院の医師や看護師に直接、患者さんの収容依頼の電話のこと)がERの初療室内に鳴り響きました。私は現在ER勤務の看護師です。24時間換算すると救急車は日によって違いますが20台前後です。

「お世話になっています⚪⚪救急隊です。患者さんの収容依頼です。80歳の女性で老人施設に入所されている方です。糖尿病の既往歴があり30分前から意識障害、冷や汗あり意識レベルは二桁後半(JCS)、救急隊観察においては低血糖症状が強く疑われます。収容はいかがでしょうか?」

すぐに収容して処置をしないと低血糖は命に関わる状態です。

すぐに収容可能と伝えて10分後にその患者さんは来ました。

救急隊のストレッチャーから病院のストレッチャーに移し、心電図モニター装着、バイタルサイン測定、点滴や採血など医師も看護師も救命のために素早く処置を行います。

デキスターという簡易血糖測定器ですぐ血糖値を測定したら測定不能という表示が出て、点滴からブドウ糖の注射が急速に投与されました。しばらくすると症状も良くなり、明日かかりつけ医者の診察を受けるように救急医から指示が出て、患者家族や付き添いの老人施設の職員にも説明しました。

状態は安定したので帰る準備として点滴の管を抜き止血も確認しました。右半身の上肢が麻痺しているので着替えの手伝いを老人施設の職員と一緒に行いました。

普段は車椅子で移動するという患者さんなので足腰は介助なしで見守りで乗れるとのことでした。

ズボンを履かせて着替えが終了というところまできたので、私が施設職員に「もうズボンは手伝わなくても履けますよね?」というと「最後まで手伝ってください。こちらはお金を払っているのですからお客さんですよね?」と言い返されました

私は「では施設ではどなたが入居されている方の着替えや日常生活のお世話はするのですか?」とすかさず聞き返したところ「私は看護師です!看護師はそんなことはしません!」と怒鳴られました。

そのときはじめてその人が看護師とわかりました。

老人施設には看護師と看護師の資格を持たない介護士の方がいます。この看護師の人は着替えの手伝いをするのは看護師の資格を持たない介護士の役目で自分がする必要なんてないと思っていたんですね。でも、目の前で困っている人がいたら助けてあげるのは人として当たり前のことで、資格以前の問題です。身体の不自由なひとの支えになるのが看護師の役目なのに、この人はただの仕事と思っていたようです。私は同じ看護師として許せない気持ちでいっぱいになりました。

ズボンでしっかり履かせてオムツだったのでオムツ交換し車椅子に乗せて施設車に乗せました。もちろんその間その看護師は見ているだけでした。

半分は愚痴になってしまいましたね。でもこれは実際にいた看護師です。同じ仲間を悪く言いたくはありません。しかし実在する人なのです。今でも時々思い出します。

その度に心の中で叫ぶ言葉は「あんな看護師いらない!」です。