看護技術の一つ血圧測定(バイタルサインの測定)の業務について

臨床においてバイタルサインの測定は日常茶飯事だと思います。

救急でもどんな患者さんにおいてもバイタルサインの測定は必須です。

バイタルサインとはなんでしょうか?

バイタルサインは生命徴候のことです。人間は生きていれば何かしら生きている証を示すものです。それを医学的に表したのがバイタルサインです。

血圧もバイタルサインの一つですがその他には体温、脈拍、呼吸回数、意識レベル、SPO2などです。

救急でも「バイタルは?」と重症な患者さんが運ばれてくると必ずそんな言葉が医師や看護師から初療室に飛び交います。

簡単そうで奥が深い(個人的にですが)血圧測定についてお話しさせていただきます。

バイタルサイン血圧測定の目的

なぜ血圧を測定しなければならないのか?そのことがわからなければ血圧については語れないのでお話しさせていただきます。

高血圧という病名を聞いたことがあると思います。

高血圧の患者さんは降圧剤というお薬を内服して治療を行っています。その効果はどうなっているのか?血圧が高いのか?下がりすぎてはいないのか?などお薬の効果を判定するための測定。

次に高血圧なのか?低血圧なのか?その判定。

体の中の循環動態の判定のため。

血圧が変動してしまう要因や生理的因子の分析のため。

血圧の左右差、上肢や下肢の測定差を知ることにより大動脈解離や大動脈狭窄症などの判断基準のため。などです。

簡単に言ってしまえば体の状態を知ることのためと疑われる病気の指標のためとも言えます。

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血圧計の種類

臨床の場においてみんなさんはどんな血圧計を使用しているでしょうか?多分ですが自動血圧計が多いと思います。

私がまだまだ若いころは(年齢は詮索しないでくださいね)自動血圧計はほとんど普及していなく水銀を使った水銀血圧計でした。とても大きく重たいものでした。ベッドサイドでの血圧測定はやりずらかったのをよく覚えています。

ところがどうでしょうか現在は自動血圧計が主流になっています。病院だけではなく一般家庭でも多く普及されています。私が勤務するERでも自動血圧計ですが二つスタンド付きの水銀血圧計があります。

何ためにあるかというと何回測っても血圧が測定できない、異常値を繰り返してしまうという時に使っています。

話は脱線してしまいますが水銀血圧計がある目的は止血のためにでもあるのです。ERでは水銀血圧計はそのように使うこともあります。

血圧測定の方法

自動血圧計の場合は上腕にマンシェットを巻く場合、足首や大腿部にマンシェットを巻く場合があります。

マンシェットを巻く場合において注意が必要です。

外傷などで運ばれてきた患者さんは痛みがあります。痛みがある上肢や下肢には巻いてはいけません。痛いし正しい測定ができないからです。乳房を切除した上肢や透析を行っている患者さんのほとんどは上肢にシャントが存在をしています。

このシャントの造設は手術をしないと作れません。そんなシャントに血圧計のマンシェットを巻いて圧をかけたらどうなるでしょうか?シャントを潰してしまい大変な事故になってしまうので確認をしましょう。

入院患者さんは毎日のように血圧は測定してスタッフは把握がしやすいですが一般外来や救急では患者さんが自ら申告する場合があります。意識がない場合や話すことができない患者さんは見逃すことがあるので十分注意が必要です。

残念ながらシャントのある上肢で血圧測定をしてしまい潰れてしまったという例もあります。

救急では文字通り緊急なので有無を言わせず血圧計のマンシェットは巻いてしまいます。一応声はかけます。

病棟の例をあげてみると血圧計の作動状況を確認する。

外観の目視をして破損はないか?極端に不潔になっていないか?自動血圧計なら電池の残量は十分か?(電池に残量によって測定値の誤差が大きくなる場合があります)患者さんに血圧を測定することを説明します。

禁忌がないか問診します。なければマンシェットを上腕にまいて送気する中部が上腕動脈の上に来るようにします。その間に聴診器を挟んで測定する側の橈骨動脈を触知しながら圧を上げていきます。

橈骨動脈の触れなくなるまで圧を上げていきそのあとはマンシェットの空気を抜いていきます。コトロフ音を聞きながら測定値をを見て行きます。

文章にするとなかなかしづらいのですが、たかが血圧されど血圧ですよ。